2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞を介した統合的免疫制御によるC型肝炎・肝癌治療法の開発
Project/Area Number |
19590765
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
考藤 達哉 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30362700)
|
Keywords | 樹状細胞 / C型肝炎 / Toll様受容体 / HCVプロテアーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
HCV感染症は種々の免疫細胞の機能異常を来たし、持続感染や肝細胞障害に関与する。C型慢性肝疾患患者の生命予後を改善するためには、PEG-IFNαなどの抗ウイルス治療によってHCVを排除する必要がある。IFNやリバビリンなどの抗ウイルス薬の効果発現には、HCV複製抑制作用のみならず免疫修飾作用が重要であるが、その詳細は明らかではない。樹状細胞(DC)はTLR、RIG-I、MDA-5などのウイルスセンサーを介してHCVを認識し免疫反応を発動させる。我々は前年度までに、C型慢性肝炎患者のMDCでは非感染者と比較してTLR2、TLR4、RIG-Iの発現が増加しているにも関わらず、TLR/RIG-Iアゴニスト刺激によるIFN-β、TNF-α、IL-12産生能が低下していること、そのシグナル伝達阻害機序としてTRIF、TRAF6の発現低下が関与することを明らかにした。今年度はHCVに対する免疫賦活を目指す治療標的として、MDCのTLR/RIG-I系の有用性を検証することを目的とした。HCVのDCへの感染性を検討するために、HCV-E1E2蛋白をエンベロプとするRecombinant HCV(rHCV)粒子を非感染者DCに接種すると、rHCVはMDCには感染したがPDCには感染しなかった。C型慢性肝炎患者MDCはHCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤の処理によってTRIF、TRAF6の発現が増加し、TLR3刺激後のIFN-β、TNF-α産生能が亢進した。またMDCの成熟度には変化を認めなかったが、TLR3刺激後のCD4+T細胞増殖刺激能が回復した。一方、非感染者MDCではプロテアーゼ阻害剤処理によってもMDCの表面抗原や機能は変化しなかった。以上の結果より、HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤による治療では、そのHCV複製抑制作用のみならず、MDCにおけるTLR/RIG-I系の機能回復による免疫賦活作用も期待できることが明らかとなった。
|
Research Products
(13 results)