2009 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞を介した統合的免疫制御によるC型肝炎・肝癌治療法の開発
Project/Area Number |
19590765
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
考藤 達哉 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30362700)
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Keywords | 樹状細胞 / C型肝炎 / Toll様受容体 / HCVプロテアーゼ阻害剤 / Type III IFN |
Research Abstract |
HCV感染症は種々の免疫細胞の機能異常を来たし、持続感染や肝細胞障害に関与する。C型慢性肝疾患患者の生命予後を改善するためには、PEG-IFNαなどの抗ウイルス治療によってHCVを排除する必要がある。HCVの排除には、抗ウイルス免疫反応の活性化が必要である。C型慢性肝炎患者で観察される治療抵抗性には、各種免疫細胞の機能低下が関与すると考えられるが、その詳細は明らかではない。樹状細胞(DC)はTLR、RIG-Iなどのウイルスセンサーを介してHCVを認識し免疫反応を発動させる。我々は前年度までに、C型慢性肝炎患者のMDCでは非感染者と比較してTLR/RIG-Iアゴニスト刺激によるIFN-β、IL-12産生能が低下していること、そのシグナル伝達阻害機序としてTRIF、TRAF6の発現低下が関与することを明らかにした。また、C型慢性肝炎患者MDCはHCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤の処理によって、TLR3刺激後のIFN-β、TNF-α産生能が亢進し、CD4+T細胞増殖刺激能が回復することも明らかにした。以上の結果より、HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤は、そのHCV複製抑制作用のみならず、MDCにおけるTLR/RIG-I系の機能回復による免疫賦活作用も期待できることが明らかとなった。今年度はType-III IFNのC型慢性肝炎の病態における意義を明らかにするために、MDCでのIL-28A、IL-29の発現をHCV感染者と非感染者で比較し、臨床パラメーターとの関連性を検討した。その結果、MDCにおけるIL-29の発現は、C型慢性肝炎患者では非感染者に比べて低下していたが、IL-28Aの発現は同等であった。IL-29、IL-28Aの発現は、HCVRNA量、ALT値とは相関を認めず、またTLR3刺激によるIFN-βやIL-12産生との相関も認めなかった。以上より、Type-III IFNはType-I IFNとは独立した機序で誘導されており、HCV持続感染などの病態に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
Nalesnik MA, Kanto T
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Journal Title
Natural killer cells and hepatitis C virus infection. Lotze MT and Thompson AW eds Natural killer cells : Basic science and clinical application(Elsevier London)
Pages: 571-587
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