2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞内情報伝達系におけるADAMの機能とC型肝炎ウイルスによる抑制機構の解析
Project/Area Number |
19590782
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中尾 春壽 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 講師 (60326139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折戸 悦朗 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60204294)
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Keywords | ADAM / EGF / hepatocellular carcinoma / Bad / Akt / apoptosis |
Research Abstract |
本研究は,肝細胞内情報伝達系におけるADAMの機能解析とC型肝炎ウイルス(HCV)による抑制機構を解明することを目的に立案した.平成19年度の目的は肝細胞内情報伝達系系に及ぼすADAMの機能解析である. 本研究では細胞内情報伝達系に関与するADAM familyの中でも唯一Erkと結合するADAM17に焦点をおいて解析した.その理由は,ADAM17とErkの結合が下流分子に与える影響が不明であることに加え,Erkに影響を及ぼすHCVのNS5A蛋白質が有するSH3 domain binding siteをADAM17も有するからである. 最初にPLC/PRF/5、Huh7、SKHep1を用いADAM17の発現が肝細胞由来細胞株において普遍的なことをウエスタンブロット法で確認した.次にADAM17がEGF情報伝達系分子に及ぼす影響を解析するためにRNAi法を用いてADAM17の発現を抑制する系を構築した.EGF刺激によりErkは活性化するが,ADAM17の発現を抑制するとErkの活性化は減弱し,ADAM17のErkのリン酸化を増強する機能が明らかとなった.ADAM familyは各種の癌で過剰発現しapoptosisを抑制する.Erkの下流にはapoptosisを抑制するBadが位置するが,EGF情報伝達系においてBadはErkを介しSer112,Ser155のリン酸化により活性化する系とAktを介してSer136がリン酸化する系が存在する.EGF刺激下でADAM17の発現を抑制してもAktの活性化に変化は認めず,Bad Ser136の活性化も認めなかった.一方,EGF刺激でBadのSer155は活性化しなかったが,Ser112は活性化しADAM17の発現を抑制するとリン酸化が減弱した.また,Erk inhibitorであるPD98059を用いるとこのリン酸化は消失した. これらの結果より,ADAM17はErkの活性化を増強させBadのSer112のリン酸化を介し抗apoptosis機構に関与する機能を有すると考えられた.
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Research Products
(1 results)