2008 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎重症化機序における内因性および外因性副腎ステロイド制御の解明
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19590783
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
片岡 慶正 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 准教授 (70185792)
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Keywords | 急性膵炎 / 重症化機序 / MOF制御 / サイトカイン / MIF / ステロイド / 副腎皮質機能 |
Research Abstract |
重症急性膵炎は未だに致死率が高く、死因として最大の重要臓器機能不全(MOF)の一環として副腎機能不全が生じているのか?、内因性ステロイド低下状態では急性膵炎は重症化するのか?急性膵炎重症化に関与する各種炎症性サイトカインの中でより上位に位置するMacrophage migration inhibitory factor(MIF)の動態は副腎皮質機能で本当に左右されるか?などの検討を行い、副腎皮質機能と重症化機序の解明をラット急性膵炎モデルで行った。ラットCDL膵炎に副腎摘出術を追加すると、高率に短時間で死亡するが、ラットCDL膵炎にメチルプレドニゾロンパルス(m-PSL-pulse)投与を行うと死亡例はないことが判明した。急性膵炎発症時点で内因性副腎機能が枯渇すれば、全例死亡する。急性膵炎では膵のみならず肺においても発症早期から動員されたMIF発現はIL-8,IL-6,IL-1βの発現よりも先行しており、血清MIFも血中膵酵素の上昇に先行していた。これらの変化は実験的に投与した外因性m-PSL-pulseにて、有意に抑制された。m-PSL-pulseにより膵湿重量、腹水、血中膵酵素の上昇が抑制され、同時に組織学的検討からも、膵の組織学的炎症性変化(間質浮腫、炎症細胞浸潤、膵実質細胞壊死)だけでなく肺胞内炎症性細胞数の有意な改善が認められた。 今回、ラット急性膵炎モデルにおける副腎摘出術の侵襲は予想以上に大きく、短時間に全例死亡した。しかし、外因性ステロイドのパルス単回投与で生存率だけでなく、劇的な改善効果が膵に加えて肺において、組織学的変化とともにMIFをはじめとする分子生物学的検討からも実証された。急性膵炎発症早期の重症化制御に副腎皮質機能の関与の重要性が高いことが示唆され、治療的戦略としての意義が明らかになった。
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Research Products
(7 results)