2007 Fiscal Year Annual Research Report
膵星細胞をターゲットとした慢性膵炎の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
19590786
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大西 洋英 Akita University, 医学部, 教授 (00313023)
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Keywords | 慢性膵炎 / 膵星細胞 / Indian hedgehog / 遊走能 / interleukin-13 |
Research Abstract |
慢性膵炎とはアルコール多飲などに起因した持続する膵の炎症の結果、膵組織の広範囲な線維化を生じ、その結果、膵外分泌腺・内分泌腺の傷害を惹起し両分泌不全へと至る難治性膵疾患である。1998年に膵星細飽(PSC)が同定・単離されて後、慢性膵炎の膵線維化現象におけるその中心的役割が明らかにされてきた。慢性膵炎膵組織においてPSCは活性化され筋線維芽細胞様に形態変化し、盛んに増殖し始めて遊走能を獲得し、膵傷害部位においてコラーゲンやファイブロネクチン等の細胞外基質を産生・放出する結果、膵組織の線維化を発症・進展せしめる。これらの知見より、膵星細胞の活性化、増殖および遊走能の抑制などを開発する事が出来れば、それらは膵線維化治療法ならびに予防法の有効な手段となり得ると考えられる。本課題ではこれら新しい膵線維化治療法の開発を目指しその理論的基盤とするべく、膵星細胞機能制御の分子機構の解明を目的に研究を行って来た。その結果、申請者は平成19年度の研究において、慢性膵炎組織に発現しているHedgehog peptideファミリーの一つであるIndian Hedgehog(Ihh)がchemokineticならびにchemotactic作用にて活性化PSCの遊走能を増強する事を見いだした。更にはその分子機構を検討し。Ihhが活性化PSCの細胞膜上のmembrane-typel matrix metalloproteinaseを増量する事によりPSCの遊走能を増強する事を明らかにした(J Cell Pphysiol, in press)。一方、慢性膵炎の発症・進展にはある種のアレルギー機序の関与が推測されて来たがその詳細は明らかではなかった。申請者らは、慢性膵炎組織にはTh2サイトカインであるインターロイキン13(IL-13)陽性炎症細胞が浸潤しており、そのIL-13はPSCにおいてNF-kappaB活性を下げる等の複数の細胞内情報伝達機構を介してPSCの増殖を促進する事を明らかにした(論文投稿中)
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Research Products
(2 results)