2008 Fiscal Year Annual Research Report
膵星細胞をターゲットとした慢性膵炎の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
19590786
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大西 洋英 Akita University, 医学部, 教授 (00313023)
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Keywords | 膵線維化 / 慢性膵炎 / TGF-beta / 細胞増殖 / interleukin-13 / 膵星細胞 / NF-kappaB |
Research Abstract |
慢性膵炎における膵線維化において中心的役割を演じる膵星細胞(PSC)は、自らが分泌するTGF-beta(オートクリンTGF-beta)により活性化されて、コラーゲン等の細胞外基質を産生、放出することにより膵線維化を発症、伸展させる。一方、その活性化膵星細胞(活性化PSC)はオートクリンTGF-betaによりその増殖は抑制されている。本研究においては、最近TGF-betaとの相互作用が注目されるサイトカインであるinterleukin-13(IL-13)に着目し、PSCの機能制御におけるTGF-betaとIL-13の作用を検討した。その結果、IL-13は活性化PSCの増殖を用量依存的に促進した。そこでそのIL-13による増殖促進作用がIL-13とオートクリンTGF-betaとのinteractionによる可能性を検討した。その結果、IL-13は活性化PSCにおけるオートクリンTGF-betaの発現および分泌を強力に抑制する事が明らかとなった。これよりIL-13はオートクリンTGF-betaの活性化PSC増殖抑制作用を解除する事によりその増殖を促進すると考えられた。次に、IL-13のオートクリンTGF-beta発現抑制の分子機構を解明する目的で、IL-13によるTGF-beta発現抑制作用におけるNF-kappaBの関与を検討した。その結果、静止期PSCに比べ活性化PSCにおいてはNF-kappaBは恒常的にその活性が上昇しており、IL-13はこの活性化PSCにおおいて上昇したNF-kappaBの活性を抑制した。更にはNF-kappaB活性のsuper-repressorであるI-kappaBを活性化PSCに過剰発現させると、そのNF-kappaB活性が抑制されると同時に、TGF-betaの発現および分泌ともに強く抑制された。以上より、IL-13はNF-kappaBを介してTGF-betaシステムとinteractionする事により活性化PSCの増殖を促進する事で、慢性膵炎における膵線維化を促進すると考えられた。
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Research Products
(4 results)