2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪性肝炎からの肝発癌における抗酸化酵素SOD1の役割
Project/Area Number |
19590790
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎藤 英胤 Keio University, 医学部, 講師 (80186949)
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Keywords | SOD1ノックアウトマウス / 脂肪性肝炎 / 四塩化炭素 / 酸化ストレス / 発がん / 健康寿命 / 肝線維化 |
Research Abstract |
単なる延命ではない「健康寿命」の延長を推進するために肥満や糖尿病の制圧が重要な課題となっているが、内蔵脂肪蓄積に伴う脂肪肝から脂肪性肝炎さらに肝硬変・肝細胞がんへの進展が問題となっており、今後のわが国の疾患構造の一つを形作る大きな病態であり、その対策が重要である. 本研究は脂肪肝から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、そして発癌の過程における細胞質内の抗酸化酵素であるSOD1の役割をSOD1ノックアウトマウス(K/O)を用いて検討し、過剰カロリー摂取とインスリンシグナル、発癌の関連を明らかにすることを目的としている. K/Oマウスの繁殖が重要な作業であるが、繁殖に時間がかかるためにヘテロマウスの酸化ストレスに対する影響を四塩化炭素モデルにて検証した.ヘテロマウスではSOD1活性はワイルドマウスに対して約半分の状態であることが明らかにされた.このようなSOD1活性の低下した状態では四塩化炭素投与に対する感受性が強く、ワイルドでは致死的でない投与量でも容易に死亡することがわかった.この際、肝臓では細胞浸潤、脂肪化、線維化が正常に比し高度に進行していることが明らかにされた.しかし、このマウスにコリン欠乏食を与えたところ、予想に反して脂肪肝が成立しないことから、SOD1を補完するような抗酸化物質が発現しているものと思われ、脂肪化と線維化の機序は予想よりも極めて複雑な様相を呈すると考えられる. 昨年度は、SOD1 K/Oの飼育を開始し、K/Oマウスの繁殖を始めた.SOD1-/-の♀マウスは妊娠できないためにヘテロマウスから誕生するK/Oマウスを繁殖させなければならないがgenotypingの結果ではなかなかK/Oマウスの繁殖が困難であることが判明した.現在ヘテロマウスと♂のK/Oマウスを掛け合わせてホモの繁殖に勢力を費やしている.
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Research Products
(5 results)