2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪性肝炎からの肝発癌における抗酸化酵素SOD1の役割
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19590790
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 英胤 Keio University, 医学部, 准教授 (80186949)
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Keywords | SOD K / Oマウス / 酸化ストレス / 高カロリー(高脂肪)食 / レスベラトロール / DEN / 四塩化炭素 / 胆管細胞癌 / 多方向性分化細胞 |
Research Abstract |
SOD K/Oマウスという酸化ストレスに弱いマウスを使い、様々な方法で(1)脂肪肝(2)肝線維化(3)肝発癌を惹起し、SOD-1の欠損あるいは活性低下がそれらに及ぼす影響を観察し、さらに抗酸化剤の抑制効果の検討を重ねている。ヒトの慢性肝炎の忠実な動物モデルはないために、様々な方法で肝内に慢性炎症、線維化、脂肪化を作成することを試みている.マウス疾患モデルとして(1)四塩化炭素(2)高カロリー(高脂肪)食およびレスベラトロール併用投与(3)DEN(Diethylnitrosamine)を作成し、既に対照マウス、およびヘテロマウスにはこれらの処置を行い、その変化を一部検討している.SOD1ノックアウトの効果を十分に発揮させるためにワイルドマウスではほとんど変化のない刺激濃度を設定してきた.(1)四塩化炭素モデル:SOD-1の活性に従い線維化の程度が低下(欠損すると線維化が強くなる)することがわかったが、脂肪化の程度には差は認められず、線維化の進展と脂肪化の進展には異なる機序が想定され、脂肪化が進むと直接、線維化が惹起されるわけではないことが明らかとなった.この状態では、SOD1が低下するに連れてASTやALTは上昇する.グルタチオン等の肝内の抗酸化酵素はある特定の酵素活性が弱くなるとそれを補うように他の抗酸化酵素活性が上昇する「補填効果」 を生じていることが考えられた.(2)高脂肪食およびレスベラトロールの併用効果:高脂肪食をSOD1K/Oに与えると悪性腫瘍の発生が早まるのではないかと考え、その際に起こる炎症や線維化を追求している,2か月までの観察では腫瘍の発生はみられていないため、現在、6か月投与を行い観察予定である.(3)DEN投与系:通常投与の1000倍濃度で投与したところ、マウスは投与2週間位から死亡し、これらのマウスの肝臓では予想に反して肝細胞癌ではなく、胆管細胞癌様の腫瘍が発生していた.多方向性分化細胞の存在と、それに対するDENの濃度による異なる作用が認められ興味深い.
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Research Products
(5 results)