2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム関連肝疾患の病態進展機序の解析および実験治療アプローチ
Project/Area Number |
19590791
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
池嶋 健一 Juntendo University, 医学部, 准教授 (20317382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今 一義 順天堂大学, 医学部, 助教 (30398672)
塚田 重城 順天堂大学, 医学部, 助教 (40420848)
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Keywords | 肝再生 / 脂肪性肝炎 / アディポネクチン / レプチン / STAT-3 / TNF-α / PPAR-γ / ピオグリタゾン |
Research Abstract |
本研究は、メタボリックシンドロームに密接に関連した肝疾患である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態進展メカニズムの解明の一環として、肝再生機構の異常や肝線維化の分子病態を明らかにし、実験的治療アプローチを試みることを目的としている。本年度は、メタボリックシンドロームモデル動物であるKK-Ayマウスを用いて、部分肝切除後の肝再生機転の異常について検討を加えた。本モデルでは高レプチン血症および低アディポネクチン血症などのアディポカイン発現異常があり、部分肝切除後には高度の肝再生不全が認められた。KK-A^yマウスでは、部分肝切除後の肝組織でTNF-αおよびIL-6の発現充進およびSTAT-3リン酸化の遷延増強が観察され、JAK-STAY系のシグナル伝達異常に伴うcyclin D1発現の抑制が肝再生不全に寄与していることが明らかになった。さらに、PPAR-γリガンドであるピオグリタゾンによりKK-Ayマウスの肝再生不全が一部改善することを見出した。ピオグリタゾンはKK-Ayマウスの低アディポネクチン血症をほぼ完全に正常化することに加え、肝切除後のサイトカイン発現パターンやJAIK-STAT系活性化が改善することにより、肝再生機転を正常化すると考えられた。メタボリックシンドロームに伴う脂肪性肝炎では肝再生不全を含む組織損傷修復機転の異常が病態進展に重要であり、チアゾリジン系薬剤がその観点からも病態進展阻止に有用である可能性が示唆された。
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