2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム関連肝疾患の病態進展機序の解析および実験治療アプローチ
Project/Area Number |
19590791
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
池嶋 健一 Juntendo University, 医学部, 准教授 (20317382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今 一義 順天堂大学, 医学部, 助教 (30398672)
塚田 重城 順天堂大学, 医学部, 助教 (40420848)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 脂肪性肝炎 / 自然免疫 / アディポネクチン / レプチン / NKT細胞 / PPAR / ピオグリタゾン |
Research Abstract |
本研究は、メタボリックシンドロームに密接に関連した肝疾患である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態進展メカニズムの解明と、それに基づく実験的治療アプローチを目的としている。これまでの検討で、メタボリックシンドロームモデル動物であるKK-Ayマウスでは脂肪性肝炎が惹起されやすく、また肝再生不金が見られることを明らかにしてきた。本年度は、本モデルマウスにおける肝臓の自然免疫系の解析の一環として、肝組織中のNKT細胞分画の発現動態とサイトカイン産生能に関する検討を行った。KK-AyマウスではコントロールのC57B1/6マウスと比較して肝組織中のNKT細胞分画が有意に減少しており、高脂肪食負荷に伴う脂肪性肝炎増悪に伴い、その傾向は一層顕著になった。また、KK-AyマウスではNKT細胞特異的T細胞受容体リガンドであるa-galactosylceramide (GalCer)投与に伴う肺組織中でのIL-4およびIFN-γ mRNAの誘導が著明に抑制されており、NKT細胞の機能異常を伴っていると考えられた。さらに、KK-A^yマウスにピオグリタゾンを投与した際には、肝組織中のNKT細胞分画が有意に増加し、GalCerに対するサイトカイン反応性も回復することが明らかになった。以上の結果より、脂肪性肝炎の発症・進展にはNKT細胞を中心とした肝の自然免疫系の反応が深く関与しており、チアゾリジン誘導体の脂肪性肝炎改善作用の少なくとも一部には自然免疫系の調節が関与していることが示唆された。
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