2007 Fiscal Year Annual Research Report
キメラ型腫瘍融解性ウイルスとその細胞デリバリー系を用いた消化器固形癌の治療
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19590798
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
川村 希代子 Chiba Cancer Center (Research Institute), 病理研究部, 主席研究員 (80260248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅敏 千葉県がんセンター(研究所), 病理研究部, 部長 (20171572)
山口 武人 千葉県がんセンター(研究所), 医療局, 診療部長 (00241969)
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Keywords | 膵がん / 抗がん剤 / アデノウイルス / インターロイキン24 / 細胞傷害活性 / MDA-7 / ファイバー・ノブ領域 / EIA遺伝子 |
Research Abstract |
難治性の消化器固形腫瘍に対する治療成績の向上は、癌治療における大きな課題の一つである。そこで生体の免疫応答を抑制しがちな抗がん剤、放射線療法とは異なり、その可能性の少ないアデノウイルスを用いて、当該ウイルスによる細胞傷害活性化能を応用した殺細胞効果を検討した。そのために、膵がんにおいて転写活性化能の優れた調節領域で当該ウイルスのE1領域遺伝子の発現を制御し、かつ当該腫瘍において,遺伝子導入効率の高いCD46分子を細胞受容体とするタイプ35型ウイルスのファイバー・ノブ領域を使用したキメラ型ウイルスを構築した。これらのウイルスは、いったん腫瘍に感染すると、ウイルスの増殖や感染細胞の細胞周期を調節するE1AおよびE1B初期転写産物を当該腫瘍内で発現させることが可能であり、事実腫瘍細胞でのウイルスの増殖とそれに引き続く細胞死が惹起された。また、腫瘍細胞に特異性を有して細胞死を誘導するMDA-7(インターロイキン24)を発現するアデノウイルスを使用して、膵がんに対する抗腫瘍効果について検討した。また、従来の抗がん剤(5-FU,CDDP,MMC,VP-16)との併用効果も合わせて検討した。その結果、当該ウイルスはおもにG2/Mにおいて細胞周期を停止させたが、抗がん剤の作用する細胞周期はさまざまであった。しかも両者の併用によっては有意な相乗効果、相加効果とも観察されなかった。しかし、MDA-7を発現しうるアデノウイルスに感染させた後、熱ショック蛋白であるHSP90阻害剤を作用させると、MDA-7の発現レベルが上昇し、殺細胞効果が向上する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)