2008 Fiscal Year Annual Research Report
キメラ型腫瘍融解性ウイルスとその細胞デリバリー系を用いた消化器固形癌の治療
Project/Area Number |
19590798
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
川村 希代子 Chiba Cancer Center (Research Institute), 病理研究部, 主席研究員 (80260248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅敏 千葉県がんセンター(研究所), 病理研究部, 部長 (20171572)
山口 武人 千葉県がんセンター(研究所), 医療局, 診療部長 (00241969)
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Keywords | 膵がん / アデノウイルス / E1A遺伝子 / CD46 / 抗がん剤 / MDM-7 / 細胞傷害活性 / ファイバー・ノブ領域 |
Research Abstract |
難治性の消化器固形腫瘍、とりわけ膵癌に対する治療成績の向上は、当該疾患にわける重要な課題である。そこで本研究では従来の治療法とは異なり、アデノウイルスの細胞傷害活性を利用した手法を検討した。すなわち、ヒト膵がん細胞で活性を有する転写調節領域を用いて、当該ウイルスの増殖に必須のE1A遺伝子の発現を制御しうるウイルスを作成し、その抗腫瘍効果を検討した。しかし従来より頻用されているウイルスベクターはタイプ5型であり、ヒト膵がんにおいてしばしば当該ウイルスの受容体が低下することから、同細胞傷害性ウイルスによる抗腫瘍効果が低下すると考えられた。そこで、ヒト腫瘍で高発現のCD46分子を受容体とするタイプ35型ウイルスを使用すれば、抗腫瘍効果は維持されるはずであり、このため受容体結合領域であるファイバー・ノブ領域をタイプ35型としたキメラ型ウイルスを構築した。両者の抗腫瘍効果を比較すると、キメラ型のウイルスの方が、従来のタイプ5型のものに比較して、より高い効果を惹起することが判明した。また、使用した膵がん細胞はすべてp53がん抑制遺伝子の変異があったが、当該遺伝子を発現するタイプ5型ウイルスを用いても、ほとんど殺細胞効果がみられなかった。しかし、上記キメラ型で細胞傷害活性を有するウイルスと併用すると、両者は相加効果を示すことが判明した。また、腫瘍の細胞死を誘導するMDM-7遺伝子を発現するタイプ5型アデノウイルスと上記のキメラ型ウイルスを併用しても、やはり両者は相加効果を誘導した。したがって、キメラ型ウイルスは細胞受容体の異なるタイプ5型ウイルスの遺伝子導入ベクターと併用することが可能である。
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Research Products
(2 results)