2009 Fiscal Year Annual Research Report
肥大型及び拡張型心筋症の病態解明:分子遺伝学的、臨床機能解析的、両アプローチから
Project/Area Number |
19590807
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤野 陽 Kanazawa University, 保健学系, 准教授 (40361993)
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Keywords | 肥大型心筋症 / 拡張型心筋症 / 遺伝子解析 / 遺伝子変異 / 非対称性中隔肥厚 |
Research Abstract |
1.心筋症の試料収集ならびに家系調査: 北陸地方を中心に集積した548の心筋症家系(肥大型心筋症400家系、拡張型心筋症148家系)に関して、インフォームド・コンセントを得た後、発端者ならびにその家族の心電図、心臓超音波検査、遺伝子診断用採血(EDTA血10ml)を実施し、遺伝子変異を検索した。 2.サルコメア遺伝子変異の検索及び臨床病型の解析: 心筋症発端者の遺伝子変異スクリーニングについて、平成20年度までは主にSingle Strand Conformation Polymorphism(SSCP)法により行っていたが、平成21年度初旬からばSSCPの代替検索法として高分解能融解曲線解析(Hi-Res Melting : HR-1)を導入した(所要時間:4分/1検体)。さらに平成21年度中旬からはHR-1の96検体版であるLight Scannerを導入した(所要時間:15分/96検体)。このHR-1およびLight Scannerにて網羅的遺伝子検索を開始し、新たにミオシン結合蛋白C遺伝子の変異:p.Gln969Stopを検出した。さらに、これまで既ば検出していた遺伝子変異についても、より多くの心筋症例比おいて検出することができた。 遺伝子変異保因者の臨床像について特に左室収縮機能に着目した所、ミオシン群75例(心筋ベータミオシン重鎖遺伝子およびミオシン結合蛋白C遺伝子)とトロポニン群75例(心筋トロポニンT遺伝子および心筋トロポニンI遺伝子)では、収縮不全(左室駆出率50%未満)の合併の仕方に違いが認められた。ミオシン群では主に60歳代から収縮不全が認められ始めたのに対して、トロポニン群では40歳代から収縮不全が認められ始めた(Kaplan-Meier法)。40歳代以上の症例における収縮不全発症率についても、トロポニン群ではミオシン群と比較して、有意に発症率が高いことが示された。
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