2008 Fiscal Year Annual Research Report
ZAKI-4βトランスジェニックマウスを用いた心筋リモデリング制御機構の解明
Project/Area Number |
19590809
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永田 浩三 Nagoya University, 医学部, 准教授 (20378227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 明子 名古屋大学, 医学部, 助教 (80252287)
成 憲武 名古屋大学, 医学部, 助教 (30378228)
橋本 克訓 名古屋大学, 医学部, 助教 (70324423)
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Keywords | ZAKI-4β / 心臓 / トランスジェニックマウス / アンジオテンシン / 心筋肥大 / 心筋線維化 / 遺伝子発現 / 拡張機能 |
Research Abstract |
本研究の平成20年度の目的は平成19年度の研究成果をさらに発展させて、心筋ZAKI-4βの過剰発現によるカルシニューリン阻害が他の内因性心肥大/心線維化促進因子及び抑制因子に及ぼす効果をさらに詳細に検討することであった。平成19年度にほぼ当初の予想通りの結果が得られていたため,DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイルの解析は実施しなかった。平成19年度に得られた結果をもとに種々の心筋遺伝子発現を定量した。その結果、TGマウスでは心筋ZAKI-4β発現は増加し、カルシニューリン発現は野生型(WT)ではAng II投与により増加したが、TGでは増加が阻止された。βミオシン重鎖のAng IIによる発現増加もTGでは抑制された。I型、III型コラーゲン及びtransforming growth factor-β1の発現についても同様の結果が得られた。さらに、我々は小動物用圧・容積カテーテルを用いて左室収縮末期圧容積関係と拡張末期圧容積関係の解析を試みた。吸入麻酔下で気管切開による人工呼吸を実施しつつ手技を行ったが、心尖部よりのカテーテル挿入、下大静脈の閉塞方法、容積補正など技術的に極めて難しく、圧容積ループを描くことができたのは合計7例のみで、統計解析に耐えられる信頼できるデータを得ることはできなかった。心エコーではAng II後の左室内径短縮率には差がなかったため、ZAKI-4β過剰発現によるカルシニューリン阻害はAng II負荷後の左室収縮性には影響しない可能性があるが、拡張期特性については研究分担者の横田等はTGマウスにおける大動脈結紮による圧負荷後に左室弛緩やスティフネスはWTと比べてかえって悪化するという結果を報告した(Am J Physiol, 2009)。本研究により、肥大刺激におけるカルシニューリン活性化は心筋細胞肥大と心筋間質線維化の両方に重要な役割を果たし、さらに拡張機能を制御する可能性があることが明らかとなった。今後、ZAKI-4βが心肥大・心不全の治療標的となることが期待される。
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Research Products
(1 results)