2007 Fiscal Year Annual Research Report
病態下心筋KチャネルIKsベータサブユニットが不整脈発生、薬物治療に及ぼす影響
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19590810
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 良子 Nagoya University, 環境医学研究所, 研究員 (00216467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50194973)
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Keywords | 不整脈 / 心不全 / Kチャネル / 遺伝子発現 / βサブユニット |
Research Abstract |
心筋KチャネルIKsのβサブユニットKCNE1遺伝子は、心不全や心筋梗塞など心臓の病態で発現レベルが修飾される。心臓の病態下では、KCNE1遺伝子の発現レベルに応じてIKs電流が変化し、不整脈治療薬に対する感受性、心電図QT時間などを変化させ、不整脈の発生や予防に関して影響を及ぼすことが容易に推察される。しかしながら、未だそのような報告はない。 本年度はまず、βサブユニット(KCNE1)がIKs、活動電位持続時間(APD)、心電図に及ぼす影響を検討した。アフリカツメ蛙卵母細胞にIKsのαサブユニットであるKCNQ1遺伝子とβサブユニットKCNE1を共発現させIKs電流を観察すると、KCNE1発現量を増大させるに伴い、(1)電流最大値が増大する、(2)活性化が遅延する、(3)より浅い電位より活性化する、(4)活性化の開始に潜伏期がある、ことが判明した。これらの結果は、IKsに対して増大もしくは減少させる方向に働き、総和としての作用が明確でない、そこで、シミュレーションによりIKs、APD、心電図QT時間に対する影響を推定した。その結果、βサブユニットKCNE1の共発現量の増大とともに、(1)IKsは減少する、(2)IKrの寄与率が相対的に高まる、(3)IKrブロッカーの効果が高まる、(4)APD延長の逆頻度依存性が増す、ことが明らかとなった。KCNE1発現が薬剤感受性を変化させる分子機構については、IKsブロッカーであるクロマノール293Bについて検討したが、KCNE1共発現による明確な薬剤感受性の変化は見られず、他の薬剤も含め現在検討中である。
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