2008 Fiscal Year Annual Research Report
病態下心筋KチャネルIKsベータサブユニットが不整脈発生、薬物治療に及ぼす影響
Project/Area Number |
19590810
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 良子 Nagoya University, 環境医学研究所, 研究員 (00216467)
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Keywords | 不整脈 / 心不全 / Kチャネル / 遺伝子発現 / βサブユニット |
Research Abstract |
心筋KチャネルIKsのβサブユニットKCNE1遺伝子は、心不全や心筋梗塞など心臓の病態で発現レベルが修飾される。心臓の病態下では、KCNE1遺伝子の発現レベルに応じてIKs電流が変化し、不整脈治療薬に対する感受性、心電図QT時間などを変化させ、不整脈の発生や予防に関して影響を及ぼすことが容易に推察される。しかしながら、未だそのような報告はない。 研究計画2年目の本年度は、βサブユニット(KCNE1)の増減に伴うIKs抑制剤のIKs電流に対する作用の差を検討した。検討した薬剤としては、クロマノール293Bに加えてベプリジル、ドロネダロンなどである。いずれも一定の傾向は見られず、アジミライドでみられたKCNE1遺伝子発現増大にともなう薬剤感受性の変化は明らかでなかった。この点については、さらに検討を続けている。シミュレーションでは、前年度に引き続き、βサブユニットKCNE1の共発現量の増大に伴う、心電図QT時間や、不整脈の発生に対する影響を推定した。心内、中層、心外膜の心筋3層構造を想定し、KCNE1遺伝子量増加に伴うIKs電流の変化を組み入れた擬似心電図シミュレーションを行うと、KCNE1遺伝子発現量が増加するとIKs電流の減少を介して心電図QT時間の延長をもたらすことが判明した。また、特に低頻度(0.2Hz以下)の刺激時に容易にEADを生じることも判明した。今後さらに、スパイラルリエントリーの発生・停止に対するKCNE1遺伝子発現の影響を観察する予定である。
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