2007 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋梗塞における血管内皮前駆細胞の動態解析と予後相関の解明
Project/Area Number |
19590811
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
沼口 靖 Nagoya University, 医学部, 寄附講座・准教授 (90378224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室原 豊明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90299503)
新谷 理 名古屋大学, 医学部・附属病院, 助教 (20309777)
柴田 玲 名古屋大学, 大学院・矢学系研究科, 特任助教 (70343689)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 血管内皮前駆細胞 / アディポネクチン / 心筋サルベージ / 脂肪酸代謝 / シンチグラフィ |
Research Abstract |
本研究は急性心筋梗塞発症時に血管内皮前駆細胞(EPC)が骨髄より動員される現象に着目し、1)急性期に動員されるEPCの動態と慢性期に至るまでの心筋回復の機序や予後との相関を解明する。2)急性期・慢性期・遠隔期の各時相における分化型EPC量を追跡調査し、それらが心筋機能回復におけるバイオマーカーとして機能しうるかどうかを解析する。3)急性期に得られた脂肪酸代謝シンチ(BMIPP)の結果や脂肪細胞由来サイトカインの経時的変化を解析し、それらの虚血性心筋症における病態への関与を解明する。の3点を主な研究目的としている。研究目的1)、2)に関して本年度は急性期患者のエントリーと慢性期患者の管理を継続し、症例の増加をはかり、急性期症例は新たに28症例、慢性期症例は86症例を得た。遠隔期症例(発症後2年以上経過したもの)については38症例最長4.5年の経過を追って管理している。このうち分化型EPCを有する患者と未分化型EPCを有する患者を比較した場合、再発ないしは他の血管性疾患、腎疾患、糖尿病を発症したものは有意に少ない傾向がみられた。(P<0.05)今後さらに遠隔期症例を追跡、補充し解析を進める予定である。研究目的3)については分担研究者柴田らと共にアディポネクチンと心筋サルベージについて解析した。EPC同様、血中アディポネクチン濃度も心筋梗塞発症後7日目に上昇し、その濃度は慢性期の心筋梗塞サイズと逆相関し、心機能(駆出率で評価)とは正の相関を認めることを発見した。これにより急性期のアディポネクチン濃度が遠隔期の心機能や心筋梗塞サイズを予知する生体マーカーとして機能しうることが推察された。以上の内容はAmerican Journal of Cardiology誌に受理され2008年中に発行されることとなった。現在来年度に向けてさらなる症例の収集を推進しているとともに、生体レベルでの脂肪酸代謝とEPC動員との関連についてメカニズムを中心に遺伝子改変動物(アディポネクチンノックアウトマウス)を用いて詳細に検討中である。
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Research Products
(4 results)