2007 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞後の心筋リモデリングの分子機構-カテプシンの役割及び遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
19590812
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
成 憲武 Nagoya University, 医学部, 寄附講座助教 (30378228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 健一 名古屋大学, 医学部, 寄附講座教授 (40262901)
葛谷 雅文 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10283441)
永田 浩三 名古屋大学, 医学部, 准教授 (20378227)
竹下 享典 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (70444403)
井澤 英夫 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80402569)
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Keywords | 心筋リモデリング / カテプシン / 心筋細胞 / 心臓ラプチャー |
Research Abstract |
心筋梗塞後の心筋リモデリングの過程において、細胞外マトリックス蛋白を分解するSerine Protease(SP)とMatrix Metalloproteinases(MMPs)が重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。しかし、近年の動物実験や臨床試験などの研究により、それらを阻害するだけでは十分な心筋リモデリングを抑制できず、また十分な心機能改善効果も得られないことが明らかにされてきた。これらの結果から、我々はSPならびにMMPs以外の蛋白分解酵素が心筋リモデリングに関与している可能性を推測した。 近年、Cysteine proteasesであるカテプシンSが種々組織の病的リモデリングへの関与が指摘されている。特に、最近の我々とShi教授らの共同研究によりこれらの酵素の血管リモデリングへの関与が明らかになった。しかしながら、このような酵素の心筋リモデリングにおける役割は不明である。そこで、我々はカテプシンSの心筋梗塞による心筋リモデリングへの関与を提唱し、野生型とカテプシン遺伝子欠損マウスに心筋梗塞モデルを作成して、比較検討を行なった。その結果、生存率は野生型マウス(54%)よりカテプシンS欠損マウス(91%)で著明に改善した。心臓破裂も野生型マウスで40%発生したのに対して、カテプシンS欠損マウスでは観察されなかった。野生型マウスと比較して、カテプシンS欠損マウス心筋におけるコラーゲンとエラスチンの分解能の著明な低下とともに、lamininとエラスチンの蓄積が観察された。さらに、心筋梗塞部位でマクロファージの浸潤低下も観察された。カテプシンS欠損マウス由来マクロファージの浸潤能は低下した。これらのことより、カテプシンSはマクロファージ浸潤に深く関与し、心臓破裂と心筋リモデリングを介して、心筋梗塞による生存率の改善に関与すると考えられる。
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Research Products
(29 results)