2008 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞の機能維持におけるNRSFーNRSE系とPPAR系とのクロストークの解明
Project/Area Number |
19590814
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 昌樹 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (30342695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 宏一郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (30402887)
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Keywords | 心筋細胞 / 代謝 / 転写因子 / PPAR / クロストーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、不全心におけるNRSF-NRSE系とPPAR系のクロストークを解明することであった。虚血性心疾患に限らず、低左室機能は後に顕性の心不全を発症し、患者のQuality of lifeを制限するのみならず致死性の不整脈を引き起こすことも多い。その病態に心筋局所におけるレニン-アンジオテンシン系やエンドセリン-1などの液性因子の活性化が関与することは多くの研究結果から示唆されているが、これまでは心筋細胞におけるエネルギー代謝の障害の詳細や上記の液性因子との関連については不明の点が多かった。心筋はエネルギー源として脂質を使用する率が高く、特に糖尿病患者の心筋ではATP産生のエネルギー源として脂肪酸酸化の占める割合が増加することが知られているが、不全心では脂肪酸の細胞内への取り込みが亢進し、その蓄積が心筋細胞傷害、心機能低下につながる可能性が考えられる。最近私たちが不全心で発現が亢進する心筋胎児型遺伝子の転写調節機構の解明を目的に作成した優勢抑制変異型NRSF(Neuron restrictive silencer factor)トランスジェニックマウスは生後心不全を発症し、不整脈で突然死していく拡張型心筋症モデルマウスとなった。この動物では同時にその心筋細胞ではミトコンドリアの著明な変性が認められた。ここにエンドセリン-1等の液性因子刺激による心筋細胞の反応に関与するNRSFと、PPARに依存した脂肪酸代謝において中心的役割を果たすミトコンドリアとのリンクが判明した。今回の研究では、さらに心筋細胞の増殖や分化に重要な働きをすることが示唆されているp300について、その優性抑制変異型を過剰発現するトランスジェニックマウスを作成したところやはり拡張型心筋症、心不全の病態を示した。この動物でもそのミトコンドリアの形態に特徴的な変化が認められたが、前述の心不全モデルマウスとは異なる形態を示していた。このDNp300トランスジェニックマウスの心臓ではPPARγ coactivator-1 αmRNAの発現の減少が認められ、これはエネルギー代謝の障害のメカニズムを解明するための端緒となる可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)