2007 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合リモデリングの制御を標的とした不整脈の新しい治療の開発
Project/Area Number |
19590818
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大草 知子 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00294629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 益徳 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60116754)
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Keywords | ギャップ結合 / コネキシン / 不整脈 / 心不全 |
Research Abstract |
隣接する細胞はギャップ結合により連結され、これを介して細胞間をイオンや情報伝達物質が交通し、細胞間の興奮伝播は主にギャップ結合により制御されている。心臓のギャップ結合構成蛋白はCx37,40,43,45と報告され、心室筋に多く発現するCx43は主としてセリン・リン酸化により機能調節をうける。このギャップ結合の量的・質的変化が回帰性不整脈の原因の一つと考えられている。本研究では、UM-X7.1心筋症ハムスターの心不全発現過程におけるconnexin43の変化と、それに引き継いで起こる電気生理学的特性の変化を解析し、Cx43の変化が重要な不整脈発生基盤となることを検討した。その結果、UM-X7.1心筋症ハムスターでは、1)10週齢より心筋細胞肥大、心筋線維化が進行し、20週齢より心機能障害をきたした。2)20週齢では、total Cx43発現量は減少したが、Ser255リン酸化Cx43は介在版および細胞質内に過剰発現した。3)20週齢では、APD90が延長しそのdispersionも増加した。optical mapping systemでの解析の結果、興奮伝播速度が低下し、スペースコンスタントも減少した。不整脈誘発試験では有意に多形性VTが誘発された。以上の結果より、心筋症ハムスターの心不全発現過程では、間質の線維化に加え、心筋細胞のCx43の質的・量的変化が心臓の電気生理学的特性に変化をきたし、致死性心室性不整脈の発生・維持における重要な因子となると考えられた。
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