2007 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈粥腫の不安定性を定量評価しうるマルチファンクショナル血管内エコー法の開発
Project/Area Number |
19590819
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
廣 高史 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 助教 (10294638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 崇史 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60228947)
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Keywords | 動脈硬化 / プラーク / 血管内エコー法 / 急性冠症候群 |
Research Abstract |
A.背景・目的:プラークの破裂は心血管イベントにおける重要な病態であることが知られている。プラークの破綻は物理的な現象であり、血圧に起因するプラーク内引っ張り応力がプラーク表面の一点に過重に掛かることがその一因として考えられている。しかしながら、血流に起因するシェアストレスとプラークの破綻との関係をin vivoで検討した報告はない。そこで、3次元血管内エコー法を用いて得られた血管内腔形状を元にして、血管内壁にかかるシェアストレスの分布をカラー表示するプログラムを開発し、プラークの破綻との関係を検討した。B.研究方法:まず3次元血管内エコー法から血管内腔形状を抽出し、その後有限要素法を用いた構造力学シミュレーションプログラムにより、シェアストレスの分布をカラー表示するプログラムをまず開発した。計算を簡易化するために、血流は定常層流であると仮定した。血管内腔形状を抽出する対象症例は、実際にプラークが破綻している箇所を確認した症例とした。プラークが破綻する前のプラーク形状は外挿法を用いて補間して推定した。 (倫理面への配慮)血管内エコー法については、その保険適用基準にのっとって、通常の心臓カテーテル検査を行った患者のデータを利用したものであり、特別に検査を行って得たものではない。その心臓カテーテル検査についても、血管内エコー法を行うことを含めてあらかじめ同意を得たものである。:C.研究結果:プラークの破綻点は、局所にシェアストレスが上昇しているプラーク表面にほぼ一致していた。この一致性は、kappa値=0.79であることが示された。D.考察:シェアストレスの絶対値は、プラーク組織を破綻させるほど大きなものではない。従って、シェアストレスは内分泌器官とされる血管内皮の細胞機能を修飾し、間接的にプラーク破綻のトリガーとなっている可能性がある。E.結論:プラーク表面の局所的シェアストレスの上昇はプラークの破綻と関連していることが示唆された。この結果は、プラークの不安定性を評価する意味で重要な所見である。
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