2008 Fiscal Year Annual Research Report
T型カルシウムチャネルのアポトーシスへの影響の解明とその制御による治療への応用
Project/Area Number |
19590823
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小野 克重 Oita University, 医学部, 教授 (40253778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 真幸 大分大学, 医学部, 助教 (40437934)
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Keywords | アポトーシス / Ca^<2+>チャネル / リモデリング / 不整脈基質 / ペースメーカ |
Research Abstract |
低電位活性型T型Ca^<2+>チャネルは1998年にクローニングされ、その後急速にその構造と機能に関する研究が進んだ。心臓のT型Ca^<2+>チャネルは心筋細胞の肥大の形成や心臓のペースメーカ電位の形成に関与しており、しばしば細胞内Ca^<2+>増加に病的役割を果たす。本研究では心筋細胞内のCa^<2+>蓄積・過負荷に注目して、その病態形成に関与する心筋細胞のアポトーシス発生のシグナルとしての細胞内Ca^<2+>がT型Ca^<2+>チャネルにいかに制御されるか検証を試みた。その結果、T型Ca^<2+>チャネルの発現増加が細胞内Ca^<2+>濃度の上昇に直接関わり、そのシグナルがアポトーシスの誘因として作用することを見いだした。このT型Ca^<2+>チャネル由来アポトーシスシグナルがいかなる細胞内分子の活性化を介するかを解明するため、カスパーゼisoform活性の制御に関わるT型Ca^<2+>チャネル依存性調節を検討した結果、T型Ca^<2+>チャネルの発現増加は、1)hypodiploid cell(アポトーシス細胞)の増加、2)ミトコンドリア膜電位喪失細胞の増加、3)カスパーゼ3活性の上昇、4)カスパーゼ9活性の上昇を伴い、この結果はHEK292細胞でも確認されると同時にT型Ca^<2+>チャネル拮抗薬ミベフラジルの存在下で観察されなかった。更に、T型Ca^<2+>チャネルの機能が細胞内Ca^<2+>濃度の上昇に直接関わることを明確にするために、T型Ca^<2+>チャネル電流の窓電流電位域に細胞膜電位がとどまるように培養液カリウム濃度を調節した結果、[K^+]_0を7.2mMにした際に最大のアポトーシス誘導効果が発揮された。よって本結果より、T型Ca^<2+>チャネルの窓電流を介した細胞内Ca^<2+>過負荷がミトコンドリア経路を介したアポトーシス誘導に関わるという知見を初めて明確に確認することができた。
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