2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590830
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
和泉 徹 Kitasato University, 医学部, 教授 (80143775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪又 孝元 北里大学, 医学部, 講師 (20311954)
竹端 均 北里大学, 医学部, 助教 (30296446)
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Keywords | 自己免疫性心筋炎 / 心筋ミオシン / β2受容体 / Gi蛋白シグナル / 百日咳毒素 / 心筋ミオシン特異的T細胞 / 心臓樹状細胞 |
Research Abstract |
正常心筋はβ1受容体優位であり、交感神経刺激を介してGs蛋白シグナルが出され、心収縮が促進する。しかし、心不全ではβ1受容体がdown-regulationすることにより相対的にβ2受容体の役割が増大する。この病態ではβ2受容体Gi蛋白により心機能は抑制化される。ところで、β受容体刺激は自己免疫性心筋炎(EAM)に対してβ1受容体効果は影響を与えないが、β2遮断効果は増悪、β2刺激効果は心筋炎を抑制する。この結果は、心不全の病態におけるβ2受容体が心機能調節としての働きだけでなく、炎症の修飾因子としても機能していることを教えている。そこで、百日咳毒素(PTX)、特異的Gi蛋白阻害薬を使い、Gi蛋白シグナル系がEAMにどのような影響を与えているか、心臓樹状細胞も含めて実験的に検討してみた。実験的心筋炎、EAMはミオシン直接免疫による(aEAM)と心筋ミオシン特異的T細胞株の移入による心筋炎(tEAM)にて作成した。その結果、ミオシン免疫と同時にGi蛋白を阻害する導入期実験でEAMは増悪した。この経路ではPTXによる臓器特異的自己免疫障害発現助長効果と同一の機序が想定される。しかし、in vivo実験でのT細胞増殖反応ではPTX投与でも有意な変化を示さなかった。一方、心筋炎発症直前にGi蛋白シグナルを阻害した効果期投与実験では、心筋炎が抑制された。即ち、PTXの二方向性効果が確認された。これは、PTXが心筋β2受容体に直接作用したのではなく、特異的炎症性T細胞並びに心臓樹状細胞に直接・間接に効果を及ぼし、炎症性細胞浸潤を抑制した結果と考察される。さらに、PTXを暴露した心筋炎惹起性T細胞の移入によるEAM抑制効果は、Gi蛋白シグナル阻害の標的がT細胞や心臓樹状細胞など炎症細胞自体であることを教えてくれた。これらから、PTXにより修飾を受けた心臓樹状細胞を含む炎症細胞がEAM抑制に強く関与していることが明らかとなった。しかしながら、PTXはT細胞サイトカイン産生系を抑制してはいなかった。これは別経路による心筋炎制御の存在を示唆している。今後、標的臓器、心臓への細胞浸潤における接着分子発現や炎症細胞ローリング作用なども含めた機序解明が必要と総括される。
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