2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590830
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
和泉 徹 Kitasato University, 医学部, 教授 (80143775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪又 孝元 北里大学, 医学部, 講師 (20311954)
竹端 均 北里大学, 医学部, 助教 (30296446)
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Keywords | 自己免疫応答 / 心臓樹状細胞 / 幹細胞刺激因子 / ラジカル刺激 |
Research Abstract |
前年度は特異的Gi蛋白阻害薬を使い、Gi蛋白シグナルが実験的自己免疫性心筋炎(EAM)を二方向性に修飾することを報告し、心臓樹状細胞も含めた実験結果を報告した。そこで今回は、サイトカインの修飾効果とラジカル刺激の修飾効果について検索した。代表的幹細胞刺激因子であるエリスロポエチン(EPO)はPI-3K/Akt系路の活性化を通じて心筋細胞のアポトーシスを抑制する。しかし、心臓樹状細胞を含めた心筋の自己免疫応答については全く不明である。以下の実験系について検索した。(1)EAM全期(導入期と効果期)のEPO効果、(2)導入期に限局させた検討、(3)効果期へ限局させた検討、(4)in vitro実験a.EPOでの細胞増殖試験、b.EPO下のT細胞細胞増殖試験、c.EPO下での抗原提示細胞増殖試験(心臓樹状細胞を想定して)、である。その結果、(1)EAMの全経過においてEPOは心筋炎を有意に抑制した。(2)効果期に比較して導入期に限局したEPO投与は組織学心筋炎スコアを有意に抑制した。(3)細胞増殖試験では濃度に依存せずEPOは心筋炎惹起性T細胞の増殖を抑制せず、各濃度のEPO暴露は抗原提示細胞の活性を抑制しなかった。従って、幹細胞刺激因子サイトカインは自己免疫応答の導入を抑制するものの、心筋樹状細胞への抑制効果は少ないと推定される。次いで、自己免疫応答におけるラジカルスカベンジャーによる電気的・構造的リモデリングの予防効果についても検索した。代表的なラジカルスカベンジャーであるnicaravenを用い、EAMでのリモデリング予防効果が投与タイミングによりどのように修飾されるかを検討した。その結果、nicaraven超急性期治療群で、ROS抑制に基づく電気的及び構造的リモデリングの顕著な抑制効果が認められた。心筋樹状細胞の活性化にはROSシグナルも関与していると思われる。
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