2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病心の虚血・再灌流障害に対するインスリン様成長因子Iの効果
Project/Area Number |
19590831
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 寿由樹 Keio University, 医学部, 助教 (20286470)
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Keywords | 糖尿病 / 虚血・再灌流 / マウス / インスリン様成長因子I / 心筋障害 / アポトーシス |
Research Abstract |
H19年度に実施した本研究の目的は、II型糖尿病モデルのdb/dbマウスを用いて、1.糖尿病心の虚血・再灌流障害における病態生理を解明すること、2.糖尿病心の虚血・再灌流障害においてインスリン様成長因子I(IGF-I)投与が治療効果をもたらすかを明らかにすることである。まず、Greerらが報告したように(AJP2006)、db/dbマウスを用いて心筋虚血・再灌流モデルを作製した。db/dbマウス(糖尿病)およびdb/m+マウス(非糖尿病)において全身麻酔下で左冠動脈の一時的閉塞により30分間虚血を施した後に再灌流させたところ、非糖尿病マウスと比べ糖尿病マウスでは急性期死亡率が高く、再灌流24時間後の梗塞サイズは有意に大きかった。また、組織学的検討では糖尿病マウスにおいて左室灌流域のアポトーシスがより高率に見られた。Greerらがdb/dbマウスの虚血・再灌流モデルを作製した際、死亡率増加、左室機能低下が認められたが、梗塞サイズ、アポトーシスなど詳細な機序については十分に検討されていなかった。今回我々の検討により糖尿病が虚血・再灌流後の梗塞サイズやアポトーシスに悪影響を及ぼすことが示唆された。非糖尿病の動物モデルにおいてIGF-Iは心筋虚血・再灌流障害に対して保護効果を発揮することが報告されているが(Buerke, et. al.PNAS 1995)、糖尿病心で同等の効果があるかどうかは不明である。IGF-Iは血管新生促進、抗アポトーシス作用、心筋肥大・再生促進など多面的作用を有するが、IGF-Iの投与が心筋虚血や心不全の病態に対し治療効果をもたらすことが期待される。ヒトIGF-Iをdb/dbマウスに投与し、ELISA法によって血中濃度を測定したところ、投与後4時間で上昇していることを確認した。今後IGF-Iが糖尿病心の虚血・再灌流後の梗塞サイズを縮小させるか、アポトーシスを抑制するかを検討していく。
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Research Products
(2 results)