2008 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血に対する選択的筋小胞体機能調節の意義と分子機序
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19590833
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
本郷 賢一 Jikei University School of Medicine, 医学部, 准教授 (00256447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 真 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40277025)
小武海 公明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60360145)
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Keywords | 細胞内Ca動態 / 筋小胞体機能 / 遺伝子改変 |
Research Abstract |
本年度は、昨年確立したマウス心室筋筋小胞体機能評価法を用いて、神経・体液性因子による調節につき検討を行った。心筋虚血や心不全時に亢進状態にあると考えられる交感神経系の内、病態形成及び維持に重要なβ受容体刺激の効果につき実験を行った。マウス心筋にβ受容体刺激薬であるイソプロテレノールを作用させ、左室肉柱を摘出後脱リン酸化酵素存在下でサポニン処理を行い、スキンド標本を作成した。筋小胞体におけるβ受容体刺激のターゲットとしては、 Ca取り込みポンプ(SERCA)調節蛋白であるフォスフォランバン(PLN)及びCa放出チャネルであるリアノジン受容体(RyR)が重要と考えられており、サポニンスキンド標本におけるこれらのリン酸化状態につき検討した。 PLNにはプロテインキナーゼA(PKA)依存性のリン酸化部位とCa/Calmodulin依存性キナーゼII(CaMKII)依存性リン酸化部位があり、各々のリン酸化状態について、リン酸化部位特異的抗体を用いたWestern Immunoblotにより定量評価を行った。交感神経β受容体刺激後には、PLNではPKA依存性リン酸化及びCaMK II依存性リン酸化の両者ともに亢進が認められた。一方で、RyRにも同様にPKA依存性リン酸化部位及びCaMK II依存性リン酸化部位が存在することが明らかになっており、こちらについても特異的抗体を用いたWestern Immunoblotにより検討した。RyRにおいては、PKA依存性リン酸化は有意に亢進していたが、CaMK II依存性リン酸化については有意な変化は認められなかった。これらのリン酸化状態を保った状況で、筋小胞体よりのCaリークにつき検討したところ、β受容体刺激下ではCaリークは有意に亢進しており、更にこのCaリークの亢進は筋小胞体内の最大Ca取り込み量の変化を伴わず生じていることが明らかとなった。
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