2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗心筋膜受容体抗体による心筋傷害:抗体吸着療法の開発と創薬の試み
Project/Area Number |
19590836
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
松井 忍 Kanazawa Medical University, 付置研究所, 教授 (00064600)
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Keywords | 免疫学 / 心筋症 / 心筋膜受容体 / 自己抗体 / 抗体吸着療法 / モノクローナル抗体 / ELISA / オートファジー |
Research Abstract |
我々の開発した吸着体を用い、実験的自己免疫性心筋症家兎に対する自己抗体吸着実験を行った。合成β1ペプチドにて免疫し、心エコー法にて心筋症の発症を確認した後、共同開発した吸着体を用い吸着実験を行った。その結果、吸着実験3ヶ月後には心肥大ならびに心拡大の改善と心機能の回復を認め、吸着療法の有効性が確認された。今後は、この成果をもとに拡張型心筋症患者への自己抗体吸着療法として臨床応用を目指す予定である。これらの研究に関連して、β1およびM2受容体に対するモノクローナル抗体を作成し、臨床診断薬や治療薬としての可能性を検討した。その結果、両モノクローナル抗体を用いることにより、心筋細胞における各受容体の良好な染色像が得られ、診断薬への応用が可能と考えられた。また、これらモノクローナル抗体を標準試薬とする抗体価定量用のELISA測定法も開発した。また、β1受容体に対する自己免疫機序による心筋障害の発症メカニズムを解明する目的で、β1ペプチドで免疫された家兎血清の初代培養ラット心筋細胞に対する細胞障害作用を検討した。培養ラット新生児心筋細胞培養液中に免疫血清添加数日後に、光顕にて培養細胞質に多数の液胞が、電顕にて2重膜や内部に細胞構造体を含んだ液胞が多数認められた。Oil Red-O染色にてこれらの培養心筋細胞質に多数の脂肪滴がみられた。一方、培養細胞数は免疫家兎血清添加数日後には減少し、かつ、死細胞の割合が増加した。この変化は、精製された抗β1抗体やイソプロテレノールでは誘発されなかった。以上の成績は抗β1抗体による細胞障害はオートファジィーによる可能性が高いこと、および、抗体自体が直接心筋細胞にはたらくためでないことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)