2008 Fiscal Year Annual Research Report
グレリンノックアウトマウスの心・血管系における病態生理機能解析
Project/Area Number |
19590840
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
御船 弘治 Kurume University, 医学部, 講師 (70174117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
佐藤 貴弘 久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (50368883)
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Keywords | グレリン / 自律神経機能 / 血圧調節機構 / グレリンKOマウス / 日内リズム / テレメトリー自動計測システム |
Research Abstract |
本研究課題は研究分担者の児島らが発見した摂食促進ホルモンのグレリンについて,血圧調節機構におけるその病態生理学的機能を明らかにすることを目的とし,本年度は合成グレリン投与後のグレリンKOマウスおよび迷走神経胃枝切除後の野生型マウスの循環動態(血圧・心拍数)の経時的な変動および日内リズムの異常の有無をテレメトリー自動計測システムにて解析し,さらに本KOマウスの血中心房性Na利尿ペプチド(ANP)及びアンギテンシンII(AII)動態の日内リズム,合成グレリン投与後の変化及び迷走神経胃枝切除後の野生型マウスの血中ANP及びAII動態の変化を比較検討した。(1)血圧・心拍数の日内リズム;合成グレリン投与後の本KOマウスでは,野生型マウスと同様の明期において低下し,暗期に上昇する傾向にあり,顕著な日内リズムが存在したが,迷走神経胃枝切除後の野生型マウスでは不安定な変動パターンを示した。(2)血圧・心拍波形のVariability解析;合成グレリン投与後の本KOマウスのLF/HF比は,野生型マウスと同様の明期に減少し暗期に増加しており,自律神経活動の日内リズムが存在したが,迷走神経胃枝切除後の野生型マウスでは明・暗期を通し高いレベルのまま推移しており,明・暗期共に交感神経活動が優位になっていた。(3)血中ANP・AII動態の日内リズム;野生型マウス及びグレリン投与後のKOマウスでは,血中ANP及びAII動態共に明暗周期に伴うリズムは認められなかったが,本KOマウス及び迷走神経胃枝切除後の野生型マウスでは,明暗周期と無関係な不安定な変動を示した。以上の結果から,胃から分泌されたグレリンは,迷走神経胃枝を介し中枢レベルで自律神経機能を調節して血圧・心拍などのトーンバランスを制御し,また,心房性Na利尿ペプチド及びアンギテンシンIIなどの末梢性の血圧調節因子の制御機構に関与する可能性が示唆された。
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