2008 Fiscal Year Annual Research Report
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19590841
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
浦田 秀則 Fukuoka University, 筑紫病院, 教授 (30289524)
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Keywords | レニン・アンジオテンシン系 / キマーゼ / アンジオテンシン変換酵素 / カテプシンG / 心血管病 / 慢性腎障害 / 急性冠動脈症候群 / キマーゼ阻害薬 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1.新しく簡便で臨床応用可能なアンジオテンシンII (AII)産生酵素活性測定法を確立し(平成19年度)、2.ヒトキマーゼの循環単核球中の活性変化と関連する臨床病態を発見・同定すること(平成20年度)であった。目的1は特異性の高いキマーゼ阻害薬を使用することにより確立し、循環白血球中にAII産生酵素活性が存在し、しかも多核球ではそのほとんどがカテプシンG依存性であることが判明し、単核球ではアンジオテンシン変換酵素・キマーゼ・カテプシンG活性がバランスよく活性を示し、単核球を使用すると各AII産生酵素活性測定が可能であることを報告した(Murakami et al. 2007)。単核球をさらに分類して分析すると、T細胞(NK,killer,helper)・B細胞・単球のどの分画にも3つのAngII産生酵素活性があり、キマーゼ活性は単球分画で最も高かった(Abe et al. 2008)。目的2について明らかになったことは、単核球中キマーゼ依存性AII産生活性は男性で高値、白血球数・CRP、HOMA指数・尿中微量アルブミン/クレアチニン比などと正相関することから、軽度な炎症病態・インスリン抵抗性・慢性腎機能障害(CKD)などで増加することが明らかとなった(Okamura et al. 2008, 2009)。これらの結果は循環器疾患の誘因となる危険因子のある患者では循環単核球中キマーゼ依存性AII産生活性が高いことが示唆され、心血管病の予測因子としての役割が推測された。また、急性期病態との関連では、急性心筋梗塞の急性期にキマーゼ活性を含む単核球中AII産生活性が増加することが明らかとなった(Okamura et al. 2009)。今後、慢性生活習慣病を基礎疾患とする心腎血管疾患の急性期及び回復期の分析を継続し、キマーゼ阻害薬の対象病態を同定する。
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Research Products
(9 results)