2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590843
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
李 梅花 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環動態機能部, 派遣研究員 (60443496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 徹 国立循環器病センター(研究所), 循環動態機能部, 室長 (30243752)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 慢性心不全 / アンジオテンシンII / 迷走神経 / アセチルコリン / 心臓リモデリング / α7 nACh受容体(α7 nAChR) |
Research Abstract |
これまでの研究で、アセチルコリンエステラゼ阻害薬-ドネペジル単独投与によって迷走神経活動の低下を薬理的に正常化させることで、心筋梗塞後重症心不全ラットの長期生存率が著しく改善した。また前年度の研究で、ロサルクン投与下にドネペジルを併用することで、心筋梗塞後重症心不全ラットの心臓リモデリングと心機能が更に改善したことを判明した。しかしながら、ドネペジルの詳細な治療機序はいまだ不明である。最近、ニコチン性アセチルコリン受容体のサブユニットα7(α7 nAChR)がコリン性抗炎症作用と虚血性血管新生に関与するという報告がある。抗炎症作用と血管新生は心筋梗塞後の心臓リモデリングと心機能に密接な関連があると予測されることから、本年度は、心筋梗塞後重症心不全ラットにおいてドネペジルによる心臓保護作用に対するα7 nAChRの役割を検討した。 8週齢のSDラットをハロセン麻酔下に、左冠状動脈を結紮して急性心筋梗塞を作成する。12日回復した後、生存したラットに再びハロセン麻酔を施し、心電図テレメトリ装置を植え込んだ、同時にランダムに生食水またはα7 nAChR遮断薬(methyllycaconitine)を持つミニポンプを植え込んだ。2日回復させたラットにドネペジルを投与して、ドネペジル単独治療群(DT)、α7 nAChR遮断薬とドネペジル併用治療群(α 7DT)に分けた。4週間治療した結果、DT群はα 7DT群に比べて、心重量は有意に小さく、心機能も有意に改善した。また、DT群において心不全の重症度を反映する血中BNPとノルエピネフリンの濃度も有意に低かった。これらの結果から、心筋梗塞後重症心不全における薬物を用いたコリン性治療で、α7 nAChRが重要な役割を果たす可能性が示唆され、ドネペジルと同等の慢性心不全治療効果を持つ、さらに選択的な新しい薬物を開発する可能性が開けて、今後臨床心不全の新しい薬物治療法の確立と展開に大きく貢献すると考える。
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Research Products
(1 results)