2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規血管新生抑制因子バソヒビンによる血管内皮の老化と細胞死の抑制
Project/Area Number |
19590847
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮下 浩輝 Tohoku University, 加齢医学研究所, 助教 (80302222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
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Keywords | バソヒビン / 血管新生抑制因子 / アポトーシス / 細胞の老化 |
Research Abstract |
vasohibin-1はVEGFなどの血管新生因子に反応して血管内皮細胞が産生・分泌し、自らに作用して血管新生を抑制するユニークな分子である。申請者はこれまでにvasohibin-1の遺伝子を安定導入したマウス内皮細胞では、H_2O_2などの種々の細胞ストレスに対して細胞死を抑制すること、逆にヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)においてvasohibin-1の発現をノックダウンすると細胞老化に陥った後、細胞死がひきおこされることを確認してきた。 平成19年度における研究の進展として、(1)vasohibin-1を過剰発現したマウス内皮細胞では抗細胞死作用を有するGalectin-3の発現が増加しており、Galectin-3を過剰発現したマウス内皮細胞では細胞死が抑制され、逆にGalectin-3をノックダウンしたマウス内皮細胞では細胞死が増加した。このことからvasohibin-1は抗細胞死作用の一部をGalectin-3を介して発揮していることが示唆された。(2)細胞老化に重要な分子であり抗老化作用を持つSIRT1の発現がHUVECにおいてvasohibin-1の発現増加に伴い増加し、逆にvasohibin-1の発現減少に伴い減少することを見出した。このことからvasohibin-1は一部、SIRTIの発現を調節することにより内皮細胞の老化に関与していることが示唆された。 以上の結果から血管新生抑制因子として単離・同定されたvasohibin-1は、血管内皮の老化や細胞死をGalectin-3やSIRT1を介して抑制するなど血管内皮の恒常性維持にも重要な役割を演じている事が示唆され、さらなる究明は高齢化社会に伴い増加している老化関連疾患(脳血管障害、虚血性心疾患、動脈硬化、変性神経疾患など)の臨床応用に貢献できると考えられる。
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