2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590848
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 潤一郎 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 准教授 (50333795)
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Keywords | 循環器 / 高血圧 / 脳血管障害 / 臨床 / 波反射 / 血流 / 動脈硬化 / 生理学 |
Research Abstract |
本年度(H20年度)は以下のことを明らかにした。 地域の一般住民を対象とした疫学的研究から、脳MRI検査で検出される無症候性ラクナ梗塞や白質病変が、動脈波反射に影響を与える脈波伝搬速度(PWV)と密接に関連し、この関連は年齢や上腕血圧など様々な脳血管障害リスクと独立に認められることが明らかとなった。また、これらの脳微小血管障害が、腎の微小血管障害の表れであるアルブミン尿と相互に関連することを実証した。このような脳腎連関における大血管硬化の影響を検討した結果、動脈スティフネスの増加が、脳と腎の微小血管障害の結びつきにおいて仲介的な役割を有していることがわかり、末梢からの動脈波反射の増大がこれら生命維持に必須な臓器の潜在的な障害を進展させ、最終的に血管イベントを誘発させる可能性が推測された。 また、病態生理学的研究から、頸部超音波検査を用いて頸動脈血流波形を記録し、血圧波の反射の影響を血流波上で評価することが可能であることが明らかとなった。このことは、血圧の波反射が、血流の拍動に伴う脳血管のshear stressを増加させ、血圧の拍動性ストレスの増加とともに血管障害を引き起こす要因となることを示唆した。 さらに、血圧波形を投射波と反射波に分離する方法を確立し、末梢の微小血管から発生する波反射の増大が高血圧患者,における臓器障害の発症や進展と関連する可能性について明らかにし、また血管拡張性降圧薬による治療は波反射の減少を介して臓器障害の退縮をもたらすことを示した。
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