Research Abstract |
申請者らは,動脈硬化の病態形成に根源的な役割を果たす分子を見出す研究を行ってきた.その結果,単核球、マクロファージの活性化は,TGFβシグナル分子(TGFβ1,β2,β3,BMP2/4)やNotchシグナル分子(Jagged1,notch1,notch3)の発現を誘導することを見出した.また,これらの遺伝子の発現は,インスリン,高血糖,遊離脂肪酸,炎症性サイトカイン,アンジオテンシンIIなどの動脈硬化の発症、進展のメディエーターとなる因子によって鋭敏に調節を受けることを明らかにした.また,骨髄由来単核球細胞を培養し,Notch Intracellular Domain(NICD)を過剰発現することによって,血管平滑筋α-アクチン遺伝子の発現が誘導されることが明らかになった.遺伝子プロモーター中にはRBP-JK結合配列が存在し,この配列は従来TGFβによる発現誘導に重要な配列であると報告されていた配列であった.TG耶による血管平滑筋α-アクチン遺伝子の発現誘導は一部,Notchシグナルの選択的阻害剤DAPT(γ-secretase inhibitor)で抑制された.また,NICD による血管平滑筋α-アクチン遺伝子の発現誘導は一部,Smad6(inhibitorySmad)によって抑制された.したがって,TGFβシグナルとNotchシグナルとは相互にクロストークする可能性がある.
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