2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来単核球細胞の血管平滑筋細胞への分化調節機構の解明と新規治療法開発への応用
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19590850
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
富田 智之 Gunma University, 医学部, 助教 (00400755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 正彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00215047)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管生物 / 細胞分化 / 骨髄由来細胞 / シグナル伝達 / Notchシグナル / 遺伝子発現 / 転写因子 |
Research Abstract |
動脈硬化病変に存在する血管平滑筋細胞の起源について、従来は、もっぱら中膜の血管平滑筋細胞であると考えられてきたが、2002年にSataらが、骨髄由来の血管平滑筋細胞前駆細胞が、傷害血管壁にホーミングして、血管平滑筋細胞に分化するという新たなコンセプトの報告をした(Sata M et al. Hematopoieticstem cells differentiate into vascular cells that participate in the pathogenesis of atherosclerosis.Nat Med. 2002,8(4):403-9)。私たちは血管平滑筋細胞の分化のプロセスに、Notchシグナルが関与すること1を報告してきた(Doi H, Iso T, Kurabayashi M. et al. Jagged1-selective notch signaling induces smooth muscle differentiation via a RBP-Jkappa-dependent pathway. J Biol Chem. 2006 Sep 29;281(39):28555-64)。昨年は、骨髄由来単核球細胞を培養し、Notch IntracellularDomain(NICD)を過剰発現することによって、血管平滑筋α-アクチン遺伝子の発現が誘導されることを明らかにした。今年度は、GFPトランスジェニックマウスの骨髄を放射線照射後の野生型マウスに移植するモデルを用いて、傷害血管の内膜にみられる細胞の起源を明らかにする実験を行った。その結果、ワイヤー傷害を受けた血管の内膜には、多数のGFP陽性細胞が存在し、骨髄由来細胞が血管細胞を構成する重要な細胞であることを確認した。そして、これらのGFP陽性細胞ではNotch1,Jagged1が強く発現していた。特に、外膜のおいてNotch1,Jagged1陽性細胞が著明に観察された。興味深いことに、内膜や外膜におけるGFP/Nocth1/Jagged1陽性細胞は、血管平滑筋αアクチンをほとんど発現していなかった。つまり、骨髄由来細胞は、血管平滑筋細胞には分化しないで、未分化な間葉系細胞の性質に留まることを示していた。その機序として、Notch1によるRBP-JKの活性化、そしてそれに続く血管平滑筋αアクチン遺伝子の活性化を抑制するHERP1の発現が関係する可能性を見出した。
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