Research Abstract |
高脂血症動脈硬化モデルであるWHHL-MIウサギモデルにおいて,G-CSFは冠動脈病変においても大動脈病変においても動脈硬化病変の進展を抑制し,白血球増加作用を有するにも関わらず,動脈硬化病変におけるプラーク構成成分(脂質,血管平滑筋,線維化病変)の比率も変化させなかった。また,血清脂質,凝固系への影響も認められなかった。さらに,バルーンによるウサギ総腸骨内皮傷害モデルにおいても,動脈硬化の指標である血管内膜/中膜比の改善が認められ,また,再内皮化が更新していた。この効果はNO阻害薬で抑制されることから血管内皮前駆細胞の動員を介している可能性が強く示唆された。 引き続き,マウスモデルにおいても,高脂血症動脈硬化モデルであるapoEノックアウトマウスモデルにおいて,ウサギと同様に,G-CSF投与によって大動脈プラーク面積の低下が認められた。また,金属ワイヤによる血管内皮細胞擦過による血管障害モデルを確立したが,そのマウスwire injury modelにおいても,G-CSF投与によって傷害血管部位のプラーク量の低下を認めた。 以上より,G-CSFは白血球増加作用を有し血管粘稠度を高めることから動脈硬化については増悪作用を有する可能性は否定され,いずれのモデルにおいても動脈硬化の進行を抑制する作用を有することが明らかとなったため,引き続き,遺伝子改変マウスを併用して,血中リンパ球系への影響,再内皮化への影響や,骨髄細胞動員の関与,血管内皮前駆細胞の関与などについて,詳細なメカニズムを検討中である。
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