2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590861
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中神 啓徳 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20325369)
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Keywords | 認知症 / 動脈硬化 / ユビキチン / 血管リモデリング / パーキンソン病 |
Research Abstract |
急速に進行する高齢化社会においては認知症の予防および早期対策は急務である。本研究ではアルツハイマー型、脳血管性認知症、レビー小体認知症の危険因子が動脈硬化症の危険因子と共通することが多い点に着目し、動脈硬化の進展が脳血管性認知症だけではなく、認知症の発症・進展に直接関与する可能性を考え、その共通分子の機能解析を行うことで新しい治療法の解明を目指す。 HVJ-Eベクターを用いた独自の遺伝子機能スクリーニング法で血管リモデリング抑制かつ認知症にも関連する共通の機能遺伝子の探索を行なった。内皮細胞由来のcDNAライブラリーから血管内皮細胞および平滑筋細胞に対して増殖抑制・抗炎症作用を有する遺伝子を探索した結果、興味深いことにパーキンソン病の原因遺伝子のひとつであるUCHLI(ubiquitin carboxyl-terminal esterase Ll)を得た。UCHL1は脳実質に多く発現する脱ユビキチン化酵素であるが、この分子が血管内皮および平滑筋細胞に発現することを見出した。興味深いことに傷害血管での新生内膜で特にその発現が増加することから、血管リモデリングに対する機能解析を行った結果、UCHL1は血管内皮・平滑筋細胞でIkBのユビキチン化阻害による蛋白安定化をもたらすことでNFkBの活性抑制作用を有することが明らかとなった。さらにラットの頚動脈のバルーン傷害後にUCHL1を過剰発現させることにより新生内膜形成を有意に抑制した。以上の結果より、脱ユビキチン化酵素であるUCHL1は血管に内在して血管リモデリングの抑制に作用していることが明らかとなった(Takami Y, Nakagami H, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2005)。一方でレビー小体認知症の原因遺伝子である・-synucleinも血管内皮細胞で発現していることから、欠損マウスを動脈硬化モデルマウスのApoE欠損マウスと交配して、ダブルノックアウトマウスの作成を行なった。
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