2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590861
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中神 啓徳 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20325369)
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Keywords | 脱ユビキチン化酵素 / 血管リモデリング / 認知症 |
Research Abstract |
長寿国の我が国で急速に進行する高齢化社会においては認知症の予防および早期対策は急務である。我々は認知症に罹患する可能性を高める危険因子が、動脈硬化症の危険因子と共通することが多い点に着目し、動脈硬化の進展が脳血管性認知症だけではなく、他の認知症発症および進展に直接関与する可能性を考えた。本研究ではパーキンソン病の病態形成の主体をなすα-synuclein(SNCA)とその分解調節因子であるubiquitin carboxyl-teminal esterase L1(UCHL1)、および血管に内在する脱ユビキチン化酵素に着目し、これらの分子の血管系での発現調節機構の検討および動脈硬化に対する直接作用を検討した。我々は脱ユビキチン化酵素であるUCHL1が血管内皮細胞・平滑筋細胞の両方に発現し、興味深いことに傷害血管での新生内膜で特にその発現が増加することを見出し、さらにUCHL1のNFkB活性抑制作用を明らかにした。ラット頚動脈バルーン傷害モデルにこのUCHL1を過剰発現させることにより、血管リモデリングを抑制できることも証明した。また血管に存在するその他の脱ユビキチン化酵素であるCYLD(cylindromatosis)に関しても同様の検討を行った。この分子はTRAF2のユビキチン化を抑制することによって、NFkB活性化経路の上流を遮断すること、またBCL-3のユビキチン化の抑制を介した抗増殖作用も分かった。これらの2つの脱ユビキチン化酵素はヒト頸動脈にも発現していることが分かり、血管リモデリングを調節する内在性の新規機能分子であると考察される。なお、これは脱ユビキチン化酵素の血管での役割を示した最初の報告である。一方、パーキンソン病の原因遺伝子のSNCA(α-synuclein)は血管平滑筋細胞よりも内皮細胞に比較的強い発現を認めた。そこで血管系に発現するSNCAの機能解析として、NFkB活性抑制機能を有していた。
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