2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590862
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石田 達郎 Kobe University, 大学院・医学系研究科, 助教 (00379413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 健一 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20283880)
小谷 義一 神戸大学, 医学部附属医院, 助教 (90403287)
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Keywords | 血管内皮 / 血管新生 / 末梢血管 / 循環器 / 接着分子 |
Research Abstract |
我々は本研究において、生体内でESAMの機能を阻害することによって腫瘍血管新生が阻害され、結果として腫瘍の成長が抑制されることを証明するために、マウス腫瘍モデルを用いて以下の検討を行った。 1.マウス腫瘍モデルにおけるESAM阻害の効果 野生型およびESAM欠損マウスの尾静脈からB16F10メラノーマ細胞を静脈内播種し、肺への血行性転移を評価した。ESAM欠損マウスでは、野生型マウスに比べて有意に肺への腫瘍転移が抑制されていた。腫瘍組織を病理学的に解析したところ、ESAM欠損マウスの転移組織では、腫瘍血管の数、分岐数、内腔面積がいずれも少なく、腫瘍血管の発育が抑制されることにより転移巣の木きさと数が減少したことが示唆された。 2.ESAM阻害の腫瘍血管新生と腫瘍成長に及ぼす影響の解析 培養B16F10メラノーマ細胞および培養線維芽細胞(対照)の上清を採取し、血管内皮細胞を刺激したところ、B16F10メラノーマ細胞で刺激した血管内皮細胞ではESAMの発現が亢進していた。すなわち、腫瘍細胞は血管内皮細胞におけるESAM発現を亢進させる分子を産生していることが示唆された。内皮細胞におけるESAM発現をsiRNAとtransfectionの系を用いて変化させ、血管新生能を評価したところ、内皮細胞におけるESAM発現は細胞の遊走能と管腔形成能と正の相関があることが明らかとなった。以上の結果から、血管に富む腫瘍細胞は内皮細胞におけるESAM発現の亢進を介して内皮の遊走能と管腔形成能を刺激することによって腫瘍血管を増生させ、その結果、腫瘍は血管依存的に増大することが示された。したがって、生体内におけるESAM阻害は、腫瘍血管新生と腫瘍増大を抑制することが示された。
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Research Products
(4 results)