2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症分子を利用した血管病変の画期的な治療法と新規遺伝子デリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
19590867
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市来 俊弘 Kyushu University, 大学病院, 講師 (80311843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 健輔 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60260379)
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Keywords | inducible cAMP early repressor / Mst1 / アポトーシス / siRNA / 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
cAMP response element binding protein(CREB)の機能を阻害するinducible cAMP early repressor(ICER)がプロスタサイクリンの誘導体であるベラプロストにより平滑筋細胞に誘導された。ベラプロストは血小板由来増殖因子による平滑筋細胞め増殖を抑制したが、この効果はICERのsiRNA導入により打ち消されたことから、ベラプロストによる増殖抑制効果においてICERの発現誘導が重要な役割を果たすことが示唆された。アデノウイルスを用いてICERを過剰発現させると、平滑筋細胞の増殖が抑制されまたアポトーシスが生じることがわかった。ラット頸動脈内膜のバルーン傷害後にアデノウイルスを用いてICERを過剰発現させると、新生内膜の形成が抑制された。新生内膜の平滑細胞の増殖は低下するとともにやはりアポトーシスが増加していた。これらの結果から、ICERが平滑筋細胞の増殖抑制作用を持ち、血管病変治療の標的分子となることが示唆された。 また、腫瘍壊死因子(TNF)aは血管内皮細胞にアポトーシスを誘導するが、この過程においてMst 1と呼ばれるセリンスレオニンキナーゼが活性化されことを見いだした。この活性化はカスパーゼ3に依存していた。Mst 1の発現をsiRNAにより抑制するとTNFaによる血管内皮細胞のアポトーシスが抑制された。Mst 1の阻害は内皮細胞のアポトーシスを抑制することにより安定化させ、急性冠症候群の予防や治療などに有用である可能性が示唆された。
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