2008 Fiscal Year Annual Research Report
マトリックスメタロプロテアーゼ誘導因子制御による難治性肺疾患への介入
Project/Area Number |
19590877
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
別役 智子 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 准教授 (60333605)
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Keywords | EMMPRIN / basigin / MMP / 上皮細胞 / 再生 |
Research Abstract |
本研究は、Matrix metalloproteinases (MMPs)の発現を誘導する膜型糖蛋白basigin / EMMPRIN (extracellular matrix metalloproteinase inducer)という分子に注目し、肺における役割について研究を進めることを目標とし、平成19年度の成果をさらに発展させた。名古屋大学教授門松健治博士から供与されたbasigin/EMMPRIN遺伝子欠損マウスを用いてOVA誘発喘息モデルを作成し、肺MMPの発現とその種類、炎症細胞浸潤、気道抵抗の変化、粘液産生細胞の頻度等の指標において、野生型とどのような差異があるかを検討した。マウス喘息モデルでは、気道上皮、炎症細胞にbasigin/EMMPRINの誘導を認めたが、野生型とbasigin/EMMPRIN遺伝子欠損マウスの間には有意差を認めなかった。2)肺リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomyomatosis : LAM)におけるbasigin/EMMPRINの役割について、肺LAM結節性病変にbasigin/EMMPRIN蛋白、mRNAが存在することを確認し、LAM患者の気管支肺胞洗浄液中、血清中、尿中のbasigin/EMMPRIN濃度が上昇していることを明らかにした。さらに腎血管筋脂肪腫細胞を培養し、EMMPRINのsiRNAを導入し、MMPsの発現が低下するか否かを検討した。3)細胞外基質による旨上皮basigin/EMMPRIN発現、糖鎖修飾の調節について、基底膜構成成分の中のIaminin 1、Iaminin 1を含む合成基底膜がbasigin/EMMPRIN発現を誘導することを,ラット気道上皮細胞を用いて明らかにした。さらにbasigin/EMMPRINの糖鎖修飾、 MMPs誘導能に及ぼすcaveolin蛋白が、ヒトの線維化肺、マウスブレオマイシン誘導性肺線維症において有意に低下していることを明らかにし論文としで発表した。
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