2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590878
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛 紅 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (70400249)
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Keywords | 骨髄間葉系幹細胞 / 再生医療 / 肺 |
Research Abstract |
慢性肺気腫は喫煙等の機序により免疫系細胞が持続的に炎症を惹起し内因性タンパク質分解酵素が優位になることにより、終末細気管支以下の肺組織の破壊と拡張が惹起されるものである。日本人死因の10位(平成18年)を占めるが、一度壊れた肺組織は不可逆的であり現在のところ治療は対症療法のみである。そのため肺再生を目標にした新規治療の開発が急務である。肺再生を狙ってレチノイン酸(Nature Medicine, p.675, 1997)、Adrenomedullin (AJRCM, p.581, 2005)、HGF(AJRCMB, p. 525,2002)、骨髄由来血球前駆細胞(JI,p.1266,2004)などが試みられたが臨床応用に失敗している。その中、骨髄由来系幹細胞(Mesenchymal stem cell, MSC)の強力な組織修復能、組織保護能が注目されている。呼吸器分野では、マウスに於けるブレオマイシン肺傷害モデルでMSCが肺障害を著明に改善したこと(AJRC MB. p.145, 2005)、in vitro内で気道上皮に分化したこと(PNAS,p.186, 2005)などが報告されており臨床応用が期待される。今回我々は補助された科研費を用いて、MSCがエラスターゼ誘導マウス肺気腫モデルに於いて著明に肺気腫を抑制することを見出した(正常肺胞内腔平均0.27um、エラスターゼ処理肺胞内腔平均0.46um、エラスターゼ処理+MSC経気道投与内腔平均0,32um、前2者統計学的有意差なし、後2者統計学的有意差あり)。機序についての検討ではMSCの肺胞内への生着分化は少なく、MSCに由来する液性因子を通してのIL1b等の抑制(炎症の抑制)、成長因子を通してのSLPI等の肺分解酵素からの保護物質誘導などが重要であるとの結論を得た。以上は、平成21年度中に論文化する予定である。
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Research Products
(1 results)