2007 Fiscal Year Annual Research Report
気道リモデリングの予防における標的細胞と分子薬理療法
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19590891
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久米 裕昭 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 講師 (50303631)
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Keywords | 好酸球性気道炎症 / Rho-kinase / Ca^<2+>感受性 / 気道平滑筋 / 気道過敏性 / βアドレナリン受容体 / 細胞遊走 / 化学メディエーター |
Research Abstract |
気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患など難治化の主因である気道リモデリングにおける気道構成細胞の役割を検討した。炎症細胞や気道上皮細胞と、気道平滑筋との関連性に焦点をあて、気道過敏性、βアドレナリン受容体の反応性低下(β耐性化)の機序の解明をおこなった。 モルモット気管平滑筋をCa^<2+>蛍光色素であるFura-2で負荷し、等尺性張力と細胞内Ca^<2+>濃度を同時に測定した。気道上皮細胞が障害された時に放出されるATPを比較的低濃度(<10μM)で気管平滑筋に曝露すると、ムスカリン受容体刺激薬であるメサコリンの収縮反応が有意に増加した。この時細胞内Ca^<2+>濃度はほとんど増加しなかった。この現象はP2X受容体刺激薬で生じ、Rho-kinase阻害薬であるY-27632で濃度依存性に抑制された。上皮細胞障害に基づいて放出されたATPは、気道平滑筋に作用にし、気道過敏性を亢進させることが明らかとなった。その機序としてP2X受容体、Rho-kinase由来のCa^<2+>感受性の亢進が重要な役割を果たしている。 肥満細胞から脱顆粒されるトリプターゼを気管平滑筋に曝露させると、濃度依存性にβアドレナリン受容体刺激薬であるイソプロテレノールの弛緩作用の著明な減弱(β耐性化)が生じた。このβアドレナリン作用の低下は細胞内Ca^<2+>濃度はほとんど影響を受けることはなく、Y-27632で抑制された。さらに、この現象は、プロテアーゼ活性型受容体2(PAR2)の刺激薬であるSLIGKV-NH_2を曝露させても同じように認められた。炎症時に肥満細胞から脱顆粒したトリプターゼにより、β耐性化が起こることが明らかとなった。このβ耐性化は同種型で、Rho-kinase由来のCa^<2+>感受性の亢進が関与している。そして、トリプターゼに由来した細胞傷害ではなく、PAR2受容体を介した細胞内情報伝達系が重要な役割を果たしている。
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Research Products
(8 results)