2008 Fiscal Year Annual Research Report
気道リモデリングの予防における標的細胞と分子薬理療法
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19590891
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久米 裕昭 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 講師 (50303631)
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Keywords | 気管支喘息 / Rho-kinase / 気道平滑筋 / Ca^<2+>感受性 / 酸化ストレス / β耐性化 / 細胞遊走 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
気管支喘息難治化の主因である気道リモデリング予防の方法を確立するために、気道炎症と気道平滑筋との関連性に焦点をあて、気流制限、βアドレナリン受容体の反応性低下(β耐性化)、細胞遊走、細胞骨格再構築の機序の解明とその標的分子の検索をおこなった。 酸化ストレスの指標であるイソプロスタンの異性体、8イソプロスタグランディンF_<2α>(8-iso-PGF_<2α>)をFura-2(Ca^<2+>蛍光色素)で負荷したモルモット気管平滑筋の切片に投与すると、濃度依存性に細胞内Ca^<2+>の上昇をともなって収縮した。この細胞内Ca^<2+>の上昇は、非特異的なCa^<2+>流入で起こり、PC-PLCが重要な役割を果たしている。そして、8-iso-PGF_<2α>による収縮は、RhoA/Rho-kinase由来の細胞内Ca^<2+>に対する感受性の亢進も関与している。 気道平滑筋細胞の増殖を起こすPDGFを気管平滑筋の切片に投与した後、イソプロテレノール(β刺激薬)の弛緩作用は細胞内Ca^<2+>濃度の上昇をともない濃度依存性に減少した。この反応性の低下には電位依存性Ca^<2+>(VDC)チャネルを介したCa^<2+>流入の抑制が重要な役割を果たしている。一方、RhoA/Rho-kinaseを介したCa^<2+>感受性の亢進は関与していない。 培養ヒト気管支平滑筋細胞の遊走能は、エンドセリンの暴露により濃度依存性に増強した。この効果はエンドセリン受容体拮抗薬で抑制されるだけでなく、Rho-kinase阻害薬でも抑制される。エンドセリンはGTP-RhoA(活性化RhoA)の割合を増加させるだけでなく、F-actinの染色を増加させる。このストレスファイバー形成はRho-kinase阻害薬で抑制される。 気管支喘息の治療の新たな標的として、RhoA/Rho-kinase系、VDCチャネルが挙げられる。
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Research Products
(15 results)