2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクス技術を応用した網羅的発現解析による肺癌関連タンパクの探索
Project/Area Number |
19590892
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳澤 聖 Nagoya University, 高等研究院, 特任講師 (20372112)
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Keywords | プロテオミクス / バイオインフォマティクス / 肺癌 / マイクロRNA / 質量分析装置 |
Research Abstract |
本研究は、肺癌関連マイクロRNA(miR)を対象とした発現・機能解析に加えて、先進的プロテオミクス技術を駆使した網羅的蛋白質発現解析によって、両者が相互に形作る制御ネットワークの解明を目指し、その異常が肺癌発症・進展に果たす役割を明らかとする事にある。今年度は、85種類の肺癌細胞株を用いた探索により、21q21.1領域におけるホモ欠失を、マイクロRNA(miR-99a, let-7c,miR-125-b-2)を含む3.4Mbpの範囲にまで限定化する事に成功した。これらのマイクロRNAに加えて、欠失領域に存在するSAMSN1とUSP25遺伝子に対する発現解析を行った結果、全ての遺伝子において発現の低下が認められた。以上より、21q21.1に存在するマイクロRNAを含む複数の遺伝子の機能障害が、肺癌発症に関連している事が示唆された。これらの成果を、Genes Chromosomes and Cancerに報告している。また、肺癌組織試料において高発現が認められ、細胞増殖能に深く関与する事を明らかとしていた13q31.3上に存在するmiR-17-92 clusterが標的とするタンパク質の探索を、質量分析装置を用いた網羅的蛋白質発現プロファイル解析により進めた。その結果、HIF1-αが標的分子の一つである事を明らかとした。さらには、肺癌細胞の増殖に対して、miR-17-92 cluster/HIF-1α/c-mycの形成する相互制御ネットワークが、重要な役割を担う事を明らかとした。これらの成果を、Cancer Researchに報告している。今後は、同定した肺癌関連マイクロRNAとそれらが標的とするタンパク質の探索、並びにその相互制御の機構、肺癌発症・進展における役割の解明に対する、さらなる検討を進める必要があると考えられた。
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Research Products
(5 results)