2007 Fiscal Year Annual Research Report
上皮成長因子受容体阻害薬のサーファクタント分泌抑制効果による肺癌個別化治療の構築
Project/Area Number |
19590901
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
早田 宏 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 研究員 (60244042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋一 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20432974)
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Keywords | 肺癌 / 分子標的治療 / 上皮成長因子受容体阻害薬 / 肺サーファクタント蛋白 |
Research Abstract |
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬は肺非小細胞肺癌の新規分子標的薬である。女性、非喫煙者、腺癌に奏効例が多く、EGF受容体遺伝子変異が効果予測因子の有力な候補として考えられている。しかしながら、EGF受容体遺伝子変異だけでは必ずしも効果予測が確実ではない。一方、肺癌マウスモデルにおいては、肺腺癌細胞からSP-Dが産生され、血中SP-D レベルと腫瘍の進展との関連が報告され、EGFシグナルによってSurfactant蛋白の産生が調整されている。以上により、EGFR チロシンキナーゼ阻害薬のSP-D産生・分泌の抑制効果が、肺癌細胞の治療標的となり、血中のSP-D が EGFR チロシンキナーゼ阻害薬の効果予測因子となるかどうかの可能性について検証を行った。 申請者は今年度、肺癌患者では血中SP-D高値例にEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の奏効例が多く、治療によって血中SP-Dが低下することを見いだした。また、無増悪生存期間の単変量解析にて、腺癌、血中SP-D高値、血中SP-D減少の3因子が有意な予後因子となっていた。無増悪生存期間の多変量解析でも、腺癌(ハザード比0.124、95%信頼区間0.030-0.511)、血中SP-D高値(ハザード比0.555、95%信頼区間0.309-0.996)、血中SP-D減少(ハザード比0.281、95%信頼区間 0.126-0.626)は独立した予後因子であった。現在、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の効果について、EGF受容体遺伝子変異と血中SP-Dとの関連を調査しているが、EGF受容体遺伝子変異とEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の効果は従来からの報告のように関連が認められており、さらに血中SP-Dとの関連を解析中である。
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