2007 Fiscal Year Annual Research Report
間質性肺炎増悪因子としてのインフルエンザ感染とニトロ化ストレスの分子病熊解析
Project/Area Number |
19590902
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
岡本 竜哉 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (30419634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
伊藤 隆明 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (70168392)
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Keywords | ニトロ化ストレス / インフルエンザウイルス / 特発性間質性肺炎 / 急性肺傷害 / 急性肺傷害後の肺線維化 / 8-ニトロ-cGMP / ヘムオキシゲナーゼ-1 / 治療戦略 |
Research Abstract |
本年度の研究では、まず、セウスインフルエンザウイルス急性肺傷害モデルを作成して、一酸化窒素(NO)と活性酸素による生体分子の化学修飾を介するニトロ化ストレスが、肺の組織障害とこれに引き続く線維化に及ぼす影響ついて解析を行った。 我々は、ニトロ化ストレスの新しいバイオマーカーとして、NO の二次シグナル分子である cyclicGMP(cGMP)がニトロ化された環状ヌクレオチドである8-ニトログアノシン3',5'-環状1リン酸(8-ニトロ-cGMP)を同定し報告した。そこで、本化合物に対する特異抗体を用いて、インフルエンザウイルス感染マウス肺組織を免疫染色にて解析したところ、感染後第7-9病日をピークとして、肺局所に浸潤した炎症細胞のみならず、ウイルス増殖の場である気道上皮細胞の細胞質において強い8-ニトロ-cGMPの陽性像を認めた。さらに、ウイルス感染に伴って、肺局所で抗酸化・抗アポトーシス作用を有するヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現が高まっており、その程度が誘導型NO合成酵素(iNOS)欠損マウスに比べて野生型(C57BL/6)マウスでより顕著であることをWestern blot解析と免疫組織染色により明らかにした。また、血中の一酸化炭素レベルを定量することによりHO-1の活性を評価したところ、同様の傾向が得られ、酵素活性を有したHO-1が、ウイルス感染に伴なって、しかもiNOS依存的に誘導されることがわかった。さらに、急性肺傷害に引き続き、第17病日においては広範な肺の線維化を認め、非線維化部分の肺胞隔壁において広範にHO-1が持続的に発現していることがわかった。 以上より、ニトロ化ストレスにより生じる8-ニトロ-cGMPは、HO-1をはじめとするストレス応答を制御するシグナル分子として機能しており、肺傷害や肺線維化の病態形成に関与している可能性が示唆され、新たな治療戦略上の応用が期待される。
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Research Products
(15 results)