2007 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼPYK2に対する分子標的療法によるARDSの新たな治療法の開発
Project/Area Number |
19590906
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
永田 一洋 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学部, 博士研究員 (60298429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖垣 光彦 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (10333197)
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Keywords | ARDS / チロシンキナーゼ / PYK2 / 活性酸素 / サイトカイン / アポトーシス |
Research Abstract |
活性酸素で活性化を受け、かつ活性酸素の産生も促進するTyrosine Kinase PYK2が障害肺で活性化され、サイトカイン・ケモカイン発現誘導を介しARDS発症に重要な役割を果たすことを予想し、PYK2作用の抑制は、活性酸素が障害の発端である高濃度酸素誘発ARDSを軽減するという仮説にいたった。それを実証するためにまずPYK2欠損マウスにおいて高濃度酸素負荷によるARDSの発症が抑制されうるかどうか検証を試みた。 研究により高濃度酸素暴露によるARDSの発症にはPYK2が必須であることを、PYK2の遺伝子欠損マウスではARDSがほぼ完全に抑制されることで証明した。すなわち、高濃度酸素曝露による死亡率が、野生型では100%死亡するのに対し、PYK2欠損マウスでは0%(各グループn=12)と、高酸素暴露に顕著な抵抗性をしめした。組織学的にも単位肺胞隔壁面積あたりの炎症細胞浸潤は軽く(p<0.005,n=10)肺損傷は軽微であり、TUNEL染色による検討で肺胞上皮、血管内皮細胞のアポトーシスがほぼ完全に抑制されていた。 またPYK2欠損マウスでの酸素暴露48時間目における肺の炎症性サイトカイン・ケモカインであるIL・1β、MIP2の発現が、RT・PCR法による検討でほぼ完全に抑制されていた。
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