2008 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス誘発性喘息におけるオピオイドネットワークの役割に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19590909
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大野 勲 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (00250762)
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Keywords | アレルギー / 気管支喘息 / 精神的ストレス / グルココルチコイド / Th2サイトカイン / μオピオイド受容体 |
Research Abstract |
1.7日連続拘束ストレスを用いたストレス負荷喘息マウス 血液中の抗原特異的IgE抗体価には、非負荷マウスとの間に有意な差はみられなかった。気管支リンパ節細胞の抗原添加培養では、非負荷マウスに比べ、抗原特異的制御性T細胞の誘導が低下し、サイトカイン発現がよりTh2優位であった。さらに、負荷マウスと非負荷マウスの間にみられたこのような有意差は、μ選択的オピオイド受容体欠損マウスでは観察されなかった。 2.3日連続拘束ストレス+4日連続強制水泳ストレスを用いたストレス負荷喘息マウス アレルギー性気道炎症は非負荷マウスに比べ有意に悪化するが、非選択的オピオイド受容体の全身投与により、この有意差は消失した。ストレスによりグルココルチコイド遊離が増強するが、グルココルチコイド受容体拮抗薬の投与により、ストレスによる気道における炎症細胞の増加やTh2優位のサイトカイン発現が低下した。 3.本年度の研究により、ストレスの種類に差異はあるものの、ストレス負荷により、μオピオイド受容体を介して気道局所の抗原特異的Th2型免疫応答が増強されること、この背景に免疫応答に抑制的に機能する制御性T細胞の誘導低下が関与していることが明らかとなった。ストレスによる抗原誘発性気道炎症の悪化はμオピオイド受容体を介するという昨年の結果と合わせ、ストレス喘息の精神(ストレス)-神経(μオピオイド受容体)-免疫応答経路が明らかにされた。さらに、グルココルチコイド受容体拮抗薬投与がストレスによる抗原誘発性気道炎症の悪化を抑制したことから、精神(ストレス)-内分泌(グルココルチコイド)経路の存在が示唆された。今後、神経(μオピオイド受容体)-内分泌(グルココルチコイド)-免疫応答経路の解明とストレスにより誘導される制御性T細胞の誘導低下の詳細な解析が必要である。
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Research Products
(18 results)