2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイコプラズマ肺炎におけるリンパ球関連宿主免疫応答の解析
Project/Area Number |
19590911
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
後藤 元 Kyorin University, 医学部, 教授 (80134617)
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Keywords | 感染症 / シグナル伝達 / 微生物 / 内科 / 網羅的解析 |
Research Abstract |
マイコプラズマ肺炎はマクロライド系抗菌薬を第一選択の治療薬として用いるが、臨床現場での検討より、「マイコプラズマ肺炎の菌体成分が惹起した過剰な宿主免疫反応をマクロライド系抗菌薬の免疫調整作用で抑制」しているという仮説が得られた。そこで、我々は、まず肺炎マイコプラズマの菌体成分を用いて、マウスモデルを作成し宿主免疫反応が惹起されるかを検討した。モデルマウスは、肺炎マイコプラズマ菌体成分を一回気道投与するモデルC、3回投与するモデルK、アジュバントとともに3回投与するモデルSを作成し比較検討した。モデルKでは、モデルCと比較し好中球性炎症が強く出現しており、気管支肺胞洗浄液の検討でもIL-23やIL-17の濃度が上昇しており、IL-17系の賦活化による炎症が考えられた。これは、ヒトのマイコプラズマ肺炎での知見と一致した。さらに、モデルSでは、リンパ球と形質細胞の浸潤を認め、ヒト重症マイコプラズマ肺炎と同様の組織像が得られた。次に、マクロライド系抗菌薬であるクラリスロマイシンの免疫調整作用を検討した。気管支肺胞洗浄液中のサイトカインを網羅的に解析したところ、クラリスロマイシン投与により増加するサイトカインの一群があった。これらの共通点としてNF-kBを賦活化するシグナル伝達により遺伝子発現がされていることが報告されており、マイコプラズマ肺炎でもNF-kB賦活化が関与すると考えられた。以上より、マイコプラズマ肺炎の宿主免疫作用の検討が可能なマウスモデルが作成できた。この宿主免疫反応をクラリスロマイシンはNF-kBを介して調節すると考えられた。
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Research Products
(5 results)