2007 Fiscal Year Annual Research Report
難治性炎症性肺疾患の病態形成におけるプロスタグランジンD2とその受容体の関与
Project/Area Number |
19590912
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅野 浩一郎 Keio University, 医学部, 講師 (60192944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 剛 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20255441)
福永 興壱 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (60327517)
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Keywords | プロスタグランジンD2 / CRTH2 / 二本鎖RNA / 喘息 / 急性増悪 |
Research Abstract |
喘息患者の生命予後、QOLに大きな影響を与える増悪因子であるRNAウイルス感染が、ウイルス複製時に生じる二本鎖RNA(dsRNA)を介して気道炎症を増悪させる機序について検討した。その結果、自然免疫系とプロスタグランジンD2(PGD_2)およびその受容体CRTH2との興味深い接点が見出された。 実験モデルとしては、卵白アルブミンを抗原として感作・曝露したラットあるいはマウスに合成dsRNAであるpoly(I:C)を気道内投与する系を用いた。この系では気道好酸球数が増加するとともに、メサコリン気道過敏性が亢進する。Th2サイトカイン、CCケモカイン濃度の変化は認められず別の好酸球遊走因子の関与が示唆されることから、脂質メディエーターの産生を検討したところ、PGD_2産生がpoly(I:C)存在下で増加することが明らかとなった。このPGD_2産生は抗原曝露肺特異的であり、抗原曝露で誘導されるシクロオキシゲナーゼ-2(Cox-2)の発現依存性である。PGD_2受容体にはDP1とcRTH2の2つの受容体があるが、cRTH2アゴニストは好酸球性気道炎症を増悪させ、逆にCRTH2拮抗薬投与やCRTH2ノックアウトマウスではpoly(I:C)による好酸球数増加が抑制された。以上から、ウイルス感染時の自然免疫系活性化は、脂質メディエーター系であるCox-2/PGD_2/CRTH2経路を介して気道炎症の増悪に関与していることが明らかとなった。これらの新しい分子を標的とした薬剤が、ウイルス感染にともなう気道疾患の急性増悪予防・治療に有効であることが期待される。
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